駅前にて「手相の勉強をしている者ですが」その4 – 2デイズ合宿 これ絶対違う!

前回の内容

運命を変えるため(?)に、カルチャーセンターに通うようになってからしばらくして、一泊二日の、2デイズ合宿の話が出た・・・

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占いで見てもらったカルチャー・センターが主催する「2デイズ合宿」、これは初夏に、東京都の外れの、ライト層の登山などで人気の山にある山荘で、行われた。

そこまでは、スタッフの運転するワゴンカーに、僕の担当のカウンセラーのシロタさん、僕、そしてあと二人が乗って行った。一人はデザイナー志望、一人はラーメン屋勤務、いずれも僕と同じ位の若い男性だった。

到着した山荘は、新しくはないが、比較的大きな建物で大部屋もある、というか、生活は、寝る場所も含め基本大部屋で、個室はない。僕ら以外にも、比較的若い男女が半々、、あまり覚えていなけれど、30人位は来ていたと思う。環境自体は、もし登山や避暑などの観光で行っていたら楽しいだろうな、と思うところだった。(実際、人気の登山コースだ)

大部屋は講義などできるような作りになっていて、そこはちょっと高い台になっていた。そして右手には古いアップライトピアノがあった。ちょっと嬉しくなって、みんなが集まるまで、少しだけ弾いてみた。

そこでは、携帯や貴重品、などは全て預けることになった。えっなんで、ってちょっと思ったけれど、まあ、それくらい集中して何かやるんだろう。

そして、合宿が本格的に始まった。

2日間、途中でやるレクリエーションのようなものや、食事、入浴の時間を除けば、本当に朝から晩まで、聖書聖書聖書、についての、その道の先生の講義だった。ずっと続くから、自分自身でものを考えて判断する能力がなくなる人もいたかもしれない。講義の前後に歌う、讃美歌はなかなか良い曲が多いと思った。

でもこれ、本当に聖書ってこんな内容だったっけ?

神様が、アダムとエバ(イブ)、という人間を作って、「完全な存在」になったら結婚して、というのが本来の流れだったのだが、途中でエバが、堕天使ルーシェルにそそのかされて、禁断の木の実を食べてしまったためにサタンの血が入って「堕落」してしまい、その後エバはアダムとも関係を持って、アダムも結果堕落し、結果二人は今まで住んでいた楽園を追われ(失楽園)、その子孫達が今の人間、よって今の人間は皆、堕落している。人間はもう一度、純潔を取り戻して、「完全な存在」として生きなければならない。

そのままでは世の中が終わってしまうため、過去にイエス・キリストが人類を救うために現れたが、惜しくも志半ばで殉死した。でも、21世紀も近い今、イエスの再来、救世主(メシア)が現れ、今度こそ全人類を救う。そして、もうその人は、この世に存在している。その人とは・・・

ここまでで、合宿の内容は終わりだった。ここでいう、「禁断の木の実を食べる」は、「婚姻を結んでいない者同士が男女の関係を持つ」ということだ。純潔とは、婚前交渉をしない、それについて頭の中で考えてもいけない、という意味だ。

講義の途中、1日目の最後あたりで、僕は確信した。「これ、絶対におかしい、間違ってる!」 周りは感動で泣いている人、その講義に夢中になっている人だらけだった。「なんでこんなのに皆はまっちゃうの?」 そして、冷静になって周りを見てみると、そのカルチャー・センターに通っている人は、(それが決して悪いことではないが)生まれてから今まで一度も恋人がいなさそうに見える人がほとんどだった。まあ、自分もその場にいたんだけれど。

1日目の就寝前に、次の合宿、今度は3泊4日の、4デイズ合宿、というのに行くかどうか、みたいな話を、一人ずつ、担当の人(ハシマさんと言う男性)としなければならなくなった。今度の合宿で、堕落した人類を救う人がいったい誰なのかが分かるそうだ。周りの人はもちろん、積極的にどんどん申し込んでいる。。

僕の番になった。「次の合宿は、僕はもう、行きません。」

ハシマさん、「え、どうしてでしょうか?」

僕「合宿で、ずっと講義を受講していましたが、納得できないことがかなりありました。今日、ここで学んだことがもし本当だとしたら、、世の中の人みんな悪い人になるんじゃないでしょうか? それに、もしここでいう純潔じゃなかったとしても、素晴らしい人はいっぱいいます。」

ハシマさん、「それは、、堕落しているから、そう見えるんであって・・・」

僕「納得していないまま講義を受けても時間の無駄だと思います。とにかく、僕はもう次の合宿には行きません。」

とりあえず、その時は平行線で何も決まらなかったが、僕が次に行かないことはほぼ決定事項となった。多分、このコミュニティの人たちにとって、僕は結構、厄介な存在だったに違いない。

2日目の長い長い講義も終わり、ワゴン車でカルチャー・センターに着いたのはもう夕方だった。和気藹々とした雰囲気を壊さないよう気を付けながらそこを出て、無事に帰宅したのは夜遅くだった。

この時点で、もうこのカルチャー・センターでの、占いが占める部分はほとんどなくなっていた。

(続く)

p.s

疲れた時、リラックスしたい時は、こちらの方もぜひ聴いてくださいね!

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