駅前にて「手相の勉強をしている者ですが」その6 – 別れ

前回の内容

2デイズ合宿以降も惰性で通っていたカルチャー・センターの容貌が、ひょんなことから明らかに?

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「これは・・・」

「世界教授~」で検索した時に出てきたものは、統一教会関連の記事ばかりだった。

統一教会、10年ほど前に、有名芸能人の参加する合同結婚式や、人を不安にさせて壺を高額で売ったり、そういったことが問題となって、毎回ワイドショーを騒がせていた、あの統一教会だった。っていうか、まだ存在していたのか?

僕は、4デイズ合宿は参加しなかったけれど、そこで、人類を救う救世主(メシア)の正体が明かされる、という話だったが、それは結局、指導者の文鮮明、ということだ。合同結婚式は、堕落した人々の血を再び清浄なものにするために、文鮮明氏が一組一組の理想のカップルを選んで(気が遠くなりそう、本当だろうか)、正しいパートナーと正しい婚姻を結ぶ、というものだ。そして合同結婚式は、日本のみならず世界中の信者が参加する。したがって、結婚相手は全く知らない人、海外の人になる可能性が極めて高い。当然だが、うまく行かずに離婚する人も多いらしい。

恥ずかしながら、僕はその時に至るまで、そのカルチャー・センターに通いながら、全く統一教会という名前が脳裏に浮かんだことはなかった。宗教なのか占いなのかもよく分かっていなかった。なんかよく分からないけれど、聖書の研究や占いなどやっている、ちょっとずれていて不思議だけれど暴力的ではなく、そんなに悪い人ではない人達が集まっている、世の中のために何かやろうとしている団体、そういう印象だった。しかし結果的に僕は半年以上、全く自覚のないまま、統一教会の原理を形上は学んだことになる。(支持は全くしていない)

しかし、ここが統一教会と知り、いろんなことに辻褄が合ってきた。

最初に出てきた、若い可愛い地味目OL風の占いの大先生、、、この人は占い師でもなんでもなく、ただの若い可愛い地味目OLだった可能性が高い。画数占いをするために、あんなに何度も別の場所に調べに行って、戻ってくる凄腕の占い師、なんているのだろうか?

おそらく、カルチャー・センターの上の階に上層部の人がいる場所があり、「どうやったらマイナス面を強調した鑑定結果を見せて、その人を不安にして、取り込むことができるだろうか?」をその都度相談して、そこで言われたようにやっていたんだろうと思う。

そのOLさんはその後、二度と僕の前に、カルチャー・センターにも顔を出すことはなかった。「すごい先生でいろんな場所で大物政治家なども占っていて忙しいから」と聞いていたが、そうじゃないと思う。再びそこに来たら、自分が占いの先生ではなく、普通の信者だということがバレてしまうからだろう。(あくまで推測だが)

僕は決心して、カルチャー・センターに電話をした。スタッフの誰かがでた。「これから忙しくなるから(事実)、もうここへは来れないと思います。今までありがとうございました。」

しばらくして、2デイズ合宿の時までの担当カウンセラーだった、シロタさんから電話が来た。なぜ辞めるのか、聞きたいみたいで、一度会いたいという。会うのは危険だと思った。口調は穏やかにしたが、それなりに言いたいことは言った。

僕「正直に言いますが、今まで嘘をついてましたよね。堕落しているのは、あなたたちではないでしょうか?」

シロタさん「なんのことやらさっぱり分からないのですが・・・」

僕「調べたのですが、ここ統一教会でしょう。なんで黙っていたのですか? 僕はもう、絶対に行きませんから。」

シロタさん「電話では何ですので、とにかく、もう一度カルチャー・センターに来ていただき、そこで話をしましょう。」

僕「会ったらまた、引き止められるのでいやです。」

シロタさん「じゃあ、あなたの希望の場所でいいですよ。」

僕「じゃあ、駅を出たところの交番の前ならいいです。」

シロタさん「そこはちょっと・・・」

僕「じゃあ、会うことはできません。」

さすがに根負けしたのか、シロタさんは、交番の前で会うことを約束してくれた。何かあった時はすぐに通報すればいい。

電話では強く言ったけれど、なんだかんだ言って今までお世話になったし、やり方の是非はおいといて、その人なりに善意でやってくれたことだから、穏やかに終われば良いと思った。

夕暮れ時、駅に着いて改札を出て、交番前に行くと、シロタさんは穏やかなすっきりした表情をしていた。

「おっしゃる通り、僕たちは統一教会の者です。今まで、他の信者も含め、あなたに不快、不審な思いをさせたこともあるかもしれません。でもそれは、あなたのことを思ってやったことが結果的にそうなったのであって、決してあなたを傷つけようとしたのではない、それは分かってください」

僕ももう全然、気にしていなかった。シロタさんは続けて言った。

「私も最初、ここが統一教会と知った時、その時の印象は最悪でした。でも今は文鮮明先生の教えを理解し、世の中のためと思ってやっています。南北朝鮮の統一もその目標に含まれています。」

「みんな洗脳、洗脳っていうけれど、それを言ったら、世の中全部洗脳ですよ。商売でものを売るために、お客さんが買いたいと思わせるよう、商談をしたりとか・・・」

うろ覚えだけれど、シロタさんはそんなことも言っていた。でも、今となっては細かいことはどうでもいいと思った。

「今までどうもありがとうございました。」

僕はそういって、最後にしっかり握手をして別れた。

帰るために駅に入った時、小柄な若い地味目の女性が僕に近付いてきた。

「すみません、手相の勉強をしている者ですが」

またか、、とちょっと苦笑したくなるのを堪え、毅然と振り切って、僕は改札へと向かった。

それ以降、カルチャー・センターの人と接する機会は全くなかった。昨年(2022年)起きた、元首相の事件の時、「ああ、まだあったのか・・・」と思ったくらい。

ちなみに、僕は政治思想的にも信仰的にも、どちらも支持していないが(特定の政党を支持していない)、正直、この二つの団体を無理やり繋げて、「日本乗っ取り」「日本をそういう思想の国に洗脳しようとしている」みたいなことを言うのには無理があり過ぎると思う。そこまでスケール、パワーのある組織じゃないし、カルトの教義は、9割くらいはまともなことを言って、危険なのは残りの1割だ。

たとえば、カルトの教義に「毎朝『おはようございます』と笑顔で挨拶するのは良いことです」と書いてあったとする。これは人間なら誰にとっても大切なことで、これを言ったから、その団体や政党はカルトを支持している、とはならないだろう。(擁護しているわけでは毛頭ない)

この出来事が終わってから、、ただ一つだけ、カタヤマさんからもらった手紙の中の一文、

「これからあなたが何度倒れても、その度に立ち上がっていける人になることを、楽しみにしています」

この言葉だけは、時々思い出す。

(終わり)

この後、このブログの前半部分を、「その17」から順に読んで行くと、また違った印象になると思います。宜しければ・・・

p.s

疲れた時、リラックスしたい時は、こちらの方もぜひ聴いてくださいね!

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