駅前にて「手相の勉強をしている者ですが」その1

2,000年に入るか入らないかの、ノストラダムスの大予言などで盛り上がっていた頃、、、病気で会社を辞めて、それからやったことも興味もない、パチンコのバイトを始めて数日で辞めて、、ある日、仕分け作業のバイトが終わり、最寄り駅で降りたところで、2,3人の垢抜けない数人の若者に引き止められた。その時の僕は間違いなく、いかにも声をかけたら止まってくれそうなオーラをまとっていた。

「手相の勉強をしている者ですが・・・」

またか・・・ 実は今までも何回か興味本位で見てもらったことがあった。簡単なアンケートを取って、手相を見てありきたりなことを言って、その後で、「今がちょうど転換期です」という流れだ。それは今回も変わらなかった。

「私たち、手相の勉強をしていて、、これからセンターに戻るのですが、そこにはもっとすごい、立派な手相の先生がいらっしゃいます。どうですか、今あなたは転換期で大切な時です。私たちと一緒にセンターに行って、先生に見てもらいませんか?」

(ここから先は、8/11(金)以降は有料記事になります)

いつもなら結構です、と断るところだけれど、なんというか、その時は何でもよかった。自分がどういう存在か、これからどうなっていくのか、たとえ占いであっても、なんとなく知っておくのも悪くはない、そう思った。

「・・・はい、、見てもらうだけでしたら、、、」

僕の予想外の返事に、垢抜けない人たちは嬉しそうだった。

最寄り駅からまた電車に乗ることになった。車内で「本当にこれで良いんだろうか?」と心配がよぎる。

数駅目で電車を降りた。そこから10分ほど歩いたところにある、小さなビルの5階以上が、そのセンターだった。

「はじまして、よくお越しくださいました。私は〇〇という者です」立派な手相の先生が僕に挨拶した。

まだ20代前半くらいの小柄で可愛らしい、地味だけれど磨けば光りそうなOL風の女性、いや女性というより女の子、という表現の方が近いかもしれない。この人がすごい先生なのか?? いやでも、人を見かけで判断しちゃだめだ。きっと若くして苦労人で、相当な研鑽をされた人なんだろう。

センター内は比較的広く小綺麗で、先生以外にもスタッフがたくさんいて、和気藹々とした雰囲気があって落ち着く音楽が流れていて、決して居心地の悪い場所ではなかった。みんな何かしら、悩みを持っていて、それを相談して、スタッフにアドバイスをもらっているようだった。

「占いってこういう場所で行われているんだな…」その時の印象だ。

僕の手相鑑定が始まった。多分、漢字の画数や、生年月日、血液型etc… そういうものをトータルで見て占っていたような気がする。

しかしやや不思議な点があった。その立派な先生は、途中で何度も何度も席を外して、上の階に行くのだ。その席を外している時間が結構長い。その間、僕を連れてきてくれた中の一人、カタヤマさんという人が、僕と雑談のような会話をしながら、僕のいろんな情報を集めているようだった。僕と同世代の、長身で話好きで穏やかな人だった。

別階から戻ってきた先生は、僕に何か質問してそれにいくつか答えると、また上の階にいく。長い間待たされてまた戻ってきて、また質問して僕が答えて上の階にいく。それを何度か繰り返した。手相を見てもらって、すぐに帰る予定だったのが、少し計算が狂ってきた。それまでも、旅行先とかで、興味半分で何回か占いはやったことがあったが、名前や生年月日に関して言えば、そんなに悪く言われたことはなかった。今回、なぜこんなに時間がかかるのだろう?

最後に先生は戻ってきた。そして、こう言った。

「あなたは、このままではどんどん苦しくなっていく一方です」

(続く)

p.s

疲れた時、リラックスしたい時は、こちらの方もぜひ聴いてくださいね!

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