久しぶりに、ASKAさんの音楽関連のことを書こうと思います。数ヶ月前の話になりますが、ASKAさんの最新アルバム「Wonderful world」が、昨年2022年11月25日に発売されました。(今回も歌詞の考察は抜きに、純粋に楽曲面について書いていきます。)
このアルバム、自分は、復帰して新体制になってからのASKAさんのアルバムの中で、最もクオリティの高い、素晴らしい作品だと思っています。今までも勿論、素敵な作品を出してきましたが、本当に「最強のASKA が帰ってきた! YAH YAH YAH !」と思えるものでした。(すみません、ビートルズを意識して書きました 笑)
しかし、今まであれだけの功績を残してきたのですから、もうのんびりマイペースで往年のヒット曲をずっと歌い続ける、というやり方もできると思うのですが、どんどん曲を作り続け、聴き手に最近の作品が一番、と思わせてしまうのですから、さすがとしかいいようがありません。そして、おこがましくも自分的にはまだまだ伸び代を感じるのです。
このアルバム、通して聴いてまず感じたことが、とにかく「明るい」のです。明るいといっても、能天気とかそういうのでなく、生命力、希望に満ち溢れている感じがひしひしと伝わってきます。音楽的に言えば、メジャー・キーの楽曲が多い、というのもあるかもしれませんが、それでも決して一本調子にさせないところが、ASKAさんの素晴らしいところだと思います。
全体を通して全く飽きさせない、5分を超える楽曲も多いのに時間がすぐに過ぎてしまう、そしてまた繰り返して聴きたいと思える、そんなアルバムなのですが、聴き手を飽きさせない大きな理由の一つが、曲順ではないかと思っています。そう、このアルバムの曲順が、本当に絶妙なのです。1曲目にニュー・アレンジの「太陽と埃の中で」を持ってきた時点で、完全に聴き手の心を掴んでいきますが、僕が特に感じたのは、2曲目の「自分じゃないか」と7曲目の「幸せの黄色い風船」です。どちらも先に配信されていた楽曲で、その時から評判の良かった楽曲ですが、このアルバムのこの順番に入ることにより、更に大化けした感があります。
あとはやはり、良い意味でノンジャンルなところです。作詞作曲まで完結するアーティストの方は、アルバム1枚を一つの色に染められる部分と、ややもすると同じスタイルが続いてマンネリになる可能性も含んでいる気がするのですが(そういう意味では、いろんな作家陣が参加することの多いアイドルの音楽は、また違った楽しみ方ができます)、ASKAさんの場合は、CHAGE and ASKA の頃からそうなのですが、通して聴いた時に、アーティストカラーとしてはしっかり一本の筋が通っているのに、曲のスタイルがひじょうに多彩なので、聴き手を飽きさせないのです。たとえば、タイトル曲の「僕のwonderful world」と「どんな顔で笑えばいい」のような曲を、同じアルバムに入れるアーティストは、なかなかいないのではないでしょうか 笑
そして、このアルバムは、13曲収録されていますが、そのうちの8曲が、5分を超えています。なのに全然、間伸び感がなく、良い意味で時間の経過が早く感じられ、また最初から聴きたいなと思わせる作品に仕上がっています。
「これからの時代はイントロは短ければ短いほどいい、曲は3分くらいで良い。イントロが長い曲、分数が長い曲はもう古い。」
数年前から、こういう「言葉」だけがどんどん一人歩きして、そしてその一人歩きした言葉を追うかのように、ミュージシャンは「時代に遅れていない自分」であることを証明するための音楽作りをすることが増えていったと思います。それ自体は決して間違いでも悪いことでもなく、僕も多少は意識して書いていますが、、そこに当てはめることが全てではなく、結局のところ本当に大切なのはイントロを短くすることでも、分数を短くすることでもなく、「聴き手を飽きさせない、次どうなるか聴きたい」という、期待感を曲に持たせることだと、自分は思っています。そしてこのアルバムは、それを素晴らしい形で体現していると思います。
あとは、、当たり前すぎることですが、とにかく歌が上手い!! あれだけ多様なスタイルの楽曲を、自分の個性を反映させた上で、もっとも楽曲が生きる歌唱スタイルで歌えるのはすごいことです。復帰してからいつも思うのですが、アルバムを出す毎に、声の出方、表現力が増している気がします。あまりそういうことをひけらかさない方だと思いますが、現在の年齢など考えると、グルーヴなど含め、相当な努力、そして自分自身を冷静に見て創意工夫されているのではないかと思います。特に、制作途中で玉置浩二さんとの遊びの動画も配信した、4曲目の「だからって」は、ASKAさんの現在の歌唱をすごく堪能できる曲だと思います。
個人的に特に気に入った楽曲は、「太陽と埃の中で」「どんな顔で笑えばいい」「それだけさ」「君」「笑って歩こうよ」etc… ですが、特に「笑って歩こうよ」は、2021年にシングルとしてリリースされた時から、すごくオーソドックスな作りなのに、妙に心に残る、人に寄り添える曲だと思っています。
アレンジ面ですが、復帰後の作品全体に言えることですが、どことなくギルバート・オサリバンやABBAといった古き良き洋楽ポップスを、今の時代に合わせたスタイルが増えている気がして、変幻自在な音楽でありながらも、そういう部分で個性の統一感を巧みに出している気がします。たとえば「太陽と埃の中で」、いうまでもなく素晴らしいメロディですが、アレンジが変わることにより、今まで気付かなかったメロディの新たな良い個性を発見することができます。またシングルとして先にリリースされた「PRIDE」、これは比較的元アレンジに近いアプローチですが、同じメロディでありながらキーが変わったことで、自分的には過去のASKAソロでいえば、「いろんな人が歌ってきたように」のような雰囲気を感じていて、これも新たな発見でした。これから、超大物プロデューサー、デビッド・フォスター氏との共演もあり(これは本当にすごいことです!!)、アレンジの傾向がまた変わっていく可能性もありますが、それもまた楽しみです。
ASKAさんの「Wonderful world」、本当に素晴らしいアルバムです。今までのファンの方も、これを読んで興味を持たれた方も、ぜひ聴いていただければ、そして今までの数々の作品にも触れていただければと、1ファンとして思います。
最後に、どうしても気になってしまうのですが、もうひと方の素敵な歌声が聴こえてきそうな楽曲が多いこと! 特に「どんな顔で笑えばいい」「君」「誰の空」なんて、本当にいろんな想像をしてしまいます。いつの日か、、いつでもいいので、実現しようとしまいと構わないので、ファンとして気長に待っていたいと思います!
p.s
疲れた時、リラックスしたい時は、こちらの方もぜひ聴いてくださいね!
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