2022年 〜2021年を振り返って〜

少し遅くなりましたが、明けましておめでとうございます! 今年もどうぞよろしくお願いします!

2021年も、2020年に引き続き、コロナ禍の続いた年でしたが、人々が少しずつ、コロナとの「共生」というものに慣れ始めた年でもあったのではないかなと思います。オリンピックという、大きな行事も、なんとか最後まで遂行された年でした。

そして、正直に書きますが、自分にとっては、コロナ禍以上に、世の中の空気というのが、時折不気味に感じてしまう一年でもありました。別の場所でも書いたことがあるのですが、好きな CHAGE & ASKA さんの名曲の歌詞でたとえると、

何が真実か わからない時がある(PRIDE

差し出す手は 敵か味方か   (RED HILL

この2つが、いつも頭の中をよぎっていて、何か発言する時も、いつも誰かに見張られているような、自分は何か間違った考え方をしているのだろうか、合っているのだろうか、何かを言えば何者かに断定されるのでは、いつか無機質な表現しかできなくなる時代が来るのではないだろうか、世界にはそれぞれの風土に根付いた尊重されるべき慣習、価値観があるのに etc…、そんなことをいつも考えていました。プロになる以前から、仕事面でも精神面でもとてもお世話になっていた、作詞家の遠藤幸三先生が年明けに亡くなられたことも、折々に触れとてもきつく感じていました。

そして、10月に左膝を怪我しまして、幸いそこまで大事には至っていないのですが、今も走ったり飛んだり、というのはあまりできません。日常生活にはほぼ支障がないレベルではありますが、自由に素早く動けないということで、気持ちが塞いでしまうこともよくありました。(膝は時間がかかるもので、少しずつ回復に向かっていますのでご安心ください)

そんな中でもやって来られたのは、仕事である音楽を作ること、そして、単純に音楽そのものが、やはり楽しかったからです。楽曲制作以外でも、ライターの s.e.i.k.o さんとの、ASKAさん関連の一連の対談記事も、本当に大変なものでしたが、これをやることにより、音楽への理解がさらに深まりました。(根気よく付き合ってくださった s.e.i.k.o さんには、厚く感謝申し上げます)

もちろん、音楽の仕事、特にJ-POPという歌モノを作る仕事は、いろんな意味でかなりの過酷さがあり、精神的にも肉体的にも、相当タフでなければできない仕事です。それでも仕事をしている時は、そういった世間の不穏を忘れて、自分の中での成長、人との協力の中で、どこまで良い作品に昇華させることができるか、、また至らない部分をどうやって克服していけるか、、そういったことに集中できることが多いのです。

そして、そういうマインドで挑めたおかげか、僕のキャリアでは初めて、作曲・編曲まで手掛けたシングル表題曲で、30分枠アニメのED主題歌のタイアップを取った年になりました。フィロのスこと、フィロソフィーのダンス さんの、メジャー3rd シングル「ダブル・スタンダード」という曲です。この年になって初めてなのですが、、いいのです、節目は人それぞれですから 笑

この曲は自分の中ではそれ以上の意味があって、、いろんなスタイルの楽曲を書いているけれど「じゃあ他の人にない、あなたのクリエイターとしての色は何なの?」と問われた時に、これまで節操がなくて答えるのが憚ることが多かった僕が、「これが自分の音楽性です。聴いたら分かると思います」と言えるような(実際には言いませんが)、とても重要な楽曲になりました。もし、僕が死ぬ時に、今まで書いてよかったと思える曲を5曲言え、と言われたら、この曲は文句なしにその中に入れます。アニメをほとんど見ない僕ですが、週末土曜日の深夜に毎回「魔法科高校の優等生」を見たのも、すごく良い思い出です。

制作の時は毎日、気持ち悪い位の緊張の連続で、洋邦問わず世に出ているハイセンスな楽曲を、暇があればiPod でヘッドフォン越しに聴いて、どういう音の鳴り方をしているんだろうか、その直後に再生した自分の制作中の音源はどう聴こえるか、、ということを繰り返し繰り返しやっていました。人間なので、本当の意味での100点満点というのは、死ぬまでとることはできないと思いますが、おかげさまで、いろんな方面から、歌唱や歌詞、メロディのみならず、アレンジやグルーヴ面でも良い評価をしてくださる場面が多く、本当に良い経験をさせていただきました。

その反動で、その後曲を書く時に、少し壁のようなものも感じることが多かったのですが、その経験があったからこそできた壁だと思い、今年はそこを乗り越えていけるよう、引き続き精進していきたいと思います。(今年3月30日には、「ダブル・スタンダード」も収録された、フィロソフィーのダンス さんのメジャー1stアルバム「愛の哲学」がリリースされますので、興味のある方は是非!)

そして、新たに抱いていることがあります。それは「日本以外の市場でも展開していくこと」です。邦楽と洋楽のリズムの取り方の違いのようなものが時折話題になりますが、自分は状況に応じてどちらにも対応できそうだと思ったのがきっかけです。今は、経験のある方から少しずつ情報を仕入れたりしている段階で、楽曲提供をするのか個人でやるのか、メジャーなのか、サブスクetc なのか、どんなジャンルなのか、歌モノなのかインストなのか、音楽業界なのか民間相手なのかetc… まだかなり漠然としておりますが、そういう動きも、日本市場向けのJ-POP と並行して、やり始めたいと思っております。こう書くとカッコいいのですが、どちらかというと、これからの時代の必然に迫られて、そういう考えに至っております。簡単なものでは全くないと思いますが、ここに書くことで、やらなければならない状況を作ろうと思います。

最後に、、僕自身の考え方ですが、人間は生きている以上、地面を踏んだ段階で、必ず何かを傷つけています。何も傷つけずに生きる、ということは、最初から生まれてこないしか方法はありません。でも、それではすごく消極的な考えですよね。

それならば、傷つけないことやそれができなかったことに囚われすぎるより、人のために何かをしていくことを重視していきたいです。相手が100点を取らなければ自分の満足が成立しない世界より、みんなが70点、60点でも、合っている箇所、間違っている箇所が違うおかげで、足りないところを補い合える、自分の思い通りにいかない人を責めていくのではなく、それぞれが長所で短所をカバーし、協力しあっていける世の中を目指していく方が、建設的ではないかなと思っています。2022年は、世の中がそういう年になっていくことを願い、自分も身近なところから変わっていこうと思います。これからも皆様どうぞよろしくお願いします!

p.s

疲れた時、リラックスした時は、こちらの方もぜひ聴いてくださいね!

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