曲が書けない、メロディが浮かばない時

「メロディが浮かばない時はありますか?」という質問は、作曲をしている方々の間ではよく出る会話だと思います。

(ここでいうメロディは、主旋律とコード進行、大体のアレンジ完成形の想像図のことを表しています。そして、今回の記事は、J-POPでとりあえず1コーラス書くことが目標であることを前提に、話を進めていきます)

僕は正直、メロディ自体が浮かばないことは今のところありません。でも「オーダーに合わせたメロディ、何十、何百という楽曲の中から採用される可能性を持つメロディ」が浮かばないことは、本当に数え切れないくらいというか、ほぼ毎回 笑 あるかもしれません。

ちなみに、自分がまだプロを目指していた頃は、メロディは一時間に1曲(1コーラス)のペースで書けました。だから、4時間作曲すれば、4曲書ける、ということですね。

ジャズのインプロヴィゼーションで使う技法をJ-POPにも応用すれば、1分のメロディは1分で、5分の曲は5分で書けるかもしれません。きっと他のクリエイターの方でも、これくらいできる方はそれなりにいらっしゃると思います。

でもそれはあくまで、自分のやりたいように、出てきたものを自由に作った場合で、それが本当にクライアントを納得させて、アーティストの個性を生かして、更にはリスナーの方々に共感していただけるもの、となれば、話は全く変わってきます。発注内容に、かなり細かいオーダーが入ってくることが多く、また前回の作品を超える作品を、ということを心掛けなければならないからです。(そして、発注書に世界観の参考として提示されるリファレンス楽曲は、本当に嫉妬する気も起こらないくらいの、名曲であることがほとんどです)

僕は恥ずかしながら、それほど早くメロディを書けない方で、今は大体、ハモリパートも含め、2日で1コーラス(スムーズに進めば1日で)、というペースが多いです。メロディを書くだけでそこまでかかるのです、これはきっと遅い方でしょう 笑

それで、納得できるメロディがどうしてもすぐに浮かんでこない、というケースはよく出てくるのですが、それでも、なんとなく期限までには、アレンジもして歌詞付きの歌も入った、それなりのデモを、提出できていたりします。よく考えると、元の状況からどうやってそこまで辿り着いているのか、いつも不思議です 笑

メロディが浮かばない時の打開策として、自分がよく使う方法なのですが、とりあえず100%納得できていないなりに、まあ良いだろう、と思うメロディを思いついたら、そこだけDAW(音楽制作ソフト)に打ち込んでいきます。それがサビの時も、Aメロ、Bメロの時もあります。サビ全てが浮かんでいなくても、4小節とかでも構いません。この時に大事なのが、主旋律と一緒に、白玉でいいので、コード進行も別トラックに打ち込むことです。

そして、BPM(テンポ)を大まかに決めて、その小節間をリピート設定して、何度も何度も再生させます。最近は、DAWのテンプレートの状態で、キックも4つ打ちで鳴るように設定しているので、そのままキックも一緒に鳴らすか、もしテンポや曲調に合わなければ、キックはミュートして、メトロノーム音を鳴らします。

それをずっと、なんとなく聴いているうちに、「ああ、ここのメロディはもっとこうした方がいい」とか、「ここのコードはこっちの方がいいな」など、いろいろ気付いてきます。

そうするうちに、たとえばサビの頭の2小節しか打ち込んでいない場合で、4小節をリピート再生していると、後半の2小節に相応しそうなコード進行が、なんとなく鳴り始めて、同時にメロディも頭の中で鳴ってくるようになるのです。つぎはぎの絵や、ピースが全部埋まっていないパズルの、足りない箇所を埋めていくような要領で、新しいメロディをそこに入れていきます。

そうすることにより、サビやAメロなど、一部のセクションが完成することもあれば、全く新しいアイデアが浮かぶこともあります。サビをリピート再生しているうちに、Bメロのアイデアが思いついたり、また、そのサビがそんなに気に入っていなかった場合、全く新しい別のサビが思いついたりすることがあるのです。そうして思いついたメロディは、今度こそ心から納得できるものが多かったりします。

ここまでくれば、、とりわけサビが完成している場合は、その後の流れというのは、結構スムーズです。自分の中で納得できるメロディが、少なくとも一つのセクションだけでも完成しているのですから。大体、ここまでで1日くらいかかることが多いです。(え、やっぱり遅い?) そして、残りの箇所は、一日寝かせた後、やや気持ちに安心感を持った状態で、1コーラスという形に仕上げていくのです。一日置くと、またそのメロディの改善点なども目に付いてきて、ちょこちょこ直していくのですが、それでも心理的にはずいぶん余裕を持って作業することができます。

(この時に同時に打ち込んである、白玉のコード進行は、後にアレンジを進めていく段階で、そのデータ含めて、かなり役立つものになります。)

とはいえ、歌もののメロディ作りは、本当に奥が深くて、90~95%まではスムーズに完成しても、残りの5~10% を形にしていく、ここが本当に難しいのです。特にサビに入る手前のインパクトの付け方だったり、また各セクションがどのあたりの音域を多く使用しているかだったり、そういう細かい箇所をかなり厳しく見ていきます。曲を作ったことのある方は皆さんそうなのかもしれませんが、自分の曲って、なんかすごく厳しい耳で聴いてしまいますよね 笑

次回は、楽曲を1コーラスに仕上げていく際、どういう部分に気を付けていくか、僕なりにやっていることを書いていこうかな、と思っております。

ちなみに今、僕がメインで使用しているDAWは、MOTU のDigital Performer 10 なのですが、このDAWやや地味ですが、「メロディを突き詰めていく」という作業においては、僕の中では無類のアドバンテージを感じているので、そういう意味でずっと使用しているところがあります。

昨今では、「作曲はアレンジやサウンドも含めて」と考えるケースがかなり多く、僕も基本はそのつもりで考えております。純粋にメロディという部分は、最近やや軽視されがちかなと感じることも多いのですが、ぶっちゃけいうと、主旋律とコード進行だけで、歌が入っていない状態でも良い曲だな、と第三者の方に思っていただける曲じゃなければ、本当の意味ではヒット曲は出ないと思います。本当に楽曲を売りたければ、やはりメロディ、そして歌詞の重要性というのを絶対に忘れないように、というのを念頭において、そういった楽曲を少しでも書けるよう、自分も日々精進していきたいと思っております。

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