さて、前回は、下に載せたコード表の中のコードを、実際にどういうコード進行で使うのか、コード進行 & メロディ の例を上げながら、確認していきました。
T(トニック)、D(ドミナント)、S(サブドミナント)、代理コード、分数コード、2nd D(セカンダリー・ドミナント)、SM(サブドミナント・マイナー)、裏コード …
これだけでも、かなりコード進行の幅が増えたと思います。しかし、、、
ここまでに上げたコードは、、裏コードと分数コード以外のものは、ルート音が全て、ドレミファソラシド、つまり、「メジャー・スケール上に来る音」であることに、気付く方もいらっしゃるのでは、と思います。
そうなのです。コード進行の幅を更に広げるには、F#(ファ#)やEb(ミb)といった、メジャー・スケール上にない音をルートとしたコードを、自由自在に使えるようになることが、とても重要だったりします。
そして、メジャー・スケール上にルート音が来るコードでも、前回上げた、トニック、ドミナント、サブドミナントetc… のような「機能上の名前」が付いていないコードが、たくさんあります。それらも、コードの進行の中で、自然に使えるようになれば、鬼に金棒です!
今回は、今上げたようなコード、コード表でいうところの、「その他」のコードを使った、コード進行 & メロディ の例を、上げていこうと思います!
この「その他」のコードは、トニック、ドミナント、サブドミナント、セカンダリー・ドミナント、サブドミナント・マイナー… などの「機能上の名前」が付いたコードを元に、応用、派生させたものがほとんどなので、理論的な説明は一応可能ではありますが、どちらかというと、理屈で考えてというより、慣習的に使っていくことが多いです。
なので、まずはとにかく「習うより慣れろ」の精神で、マスターしていくことが大事なのですね 笑 さっそく、見ていきましょう!
※ 今回、紹介していくコードは、どれもとても大切なので、一つのコードに付き、一つの例を上げていきます。表の上の段から順番に上げていきます。
また、ここで紹介するコード進行の中には、厳密には、転調しているものも含まれていますが、いわゆる、何小節かの部分的な転調は入れておりません。できるだけ「瞬間転調」のもので、そのコードを、今のキー(ここではCメジャー・キー)の機能の中で扱う例を、上げております。
◎ ルートが「C(ド) 完全1度」のコード
Caug (Ⅰaug)
構成音:ド・ミ・ソ#(完全1度・長3度・増5度)
・C | Caug | C6 | C7 | F | Fm | Em | A7 |~
Cm (Ⅰm)
構成音:ド・ミb・ソ(完全1度・短3度・完全5度)
・C | Dm7(b5) – G7 | Cm | Dm7 – G7 |~
Cdim (Ⅰdim)
構成音:ド・ミb・ソb・ラ(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・C – Cdim | CM7 – Cdim |~
◎ ルートが「D(レ) 長2度」のコード
Ddim (Ⅱdim)
構成音:レ・ファ・ラb・シ(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・Dm7 – Ddim | Em7 – A7 | F – G7 | C – C7 |~
◎ ルートが「E(ミ) 長3度」のコード
Em7(b5) (Ⅲm7(b5))
構成音:ミ・ソ・シb・レ(完全1度・短3度・減5度・短7度)
・C – G/D | Em7(b5) – A7 | Dm – F/C | Bm7(b5) – E7 |~
Edim (Ⅲdim)
構成音:ミ・ソ・シb・レb(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・F – G7/F | Em7 – Edim | Dm7 – G7 | C – C7 |~
◎ ルートが「F(ファ) 完全4度」のコード
F7 (Ⅳ7)
構成音:ファ・ラ・ド・ミb(完全1度・長3度・完全5度・短7度)
・C7 – F7 | C7 – F7 | Ab7 – G7 | C7 |
Fm7(b5) (Ⅳm7(b5))
構成音:ファ・ラb・シ・ミb(完全1度・短3度・減5度・短7度)
・FM7 – Fm7(b5) | Em7 – Eb7 | Dm7 – G7 | CM7 |~
FmM7(b5) (ⅣmM7(b5))
構成音:ファ・ラb・シ・ミ(完全1度・短3度・減5度・長7度)
・FM7 – FmM7(b5) | Em7 – Am7 | Dm7 – G7 | CM7 – C7 |~
Fdim (Ⅳdim)
構成音:ファ・ラb・シ・レ(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・FM7 – Fdim | Em7 – Am7 | Dm7 – G7 | CM7 – F#7 |~
◎ ルートが「G(ソ) 完全5度」のコード
Gm (Ⅴm)
構成音:ソ・シb・レ(完全1度・短3度・完全5度)
・C | Gm | Ab | Bb7 | C | Gm | Ab | Bb7 |~
Gm7 (Ⅴm7)
構成音:ソ・シb・レ・ファ(完全1度・短3度・完全5度・短7度)
・C – Bm7(b5)・E7 | Am7 – Gm7・C7|FM7 – Em7|Dm7 – F/G・G7| ~
◎ ルートが「A(ラ) 長6度」のコード
Adim (Ⅵdim)
構成音:ラ・ド・ミb・ソb(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・Am – Adim | Am7 – Adim |Am – Adim | Am7 – Adim| ~
◎ ルートが「B(シ) 長7度」のコード
Bm7 (Ⅶm7)
構成音:シ・レ・ファ#・ラ(完全1度・短3度・完全5度・短7度)
・Dm7 – G7 | CM7 – FM7 | Bm7 – E7 | Asus4 – A7 | ~
Bdim (Ⅶdim)
構成音:シ・レ・ファ・ラb(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・Bm7(b5) – Bdim | Am7 – D7 | Bm7(b5) – Bdim | Am7 – D7 | ~
◎ ルートが「Db(レb) 短2度」のコード
Dbaug (Ⅱb aug)
構成音:レb・ファ・ラ(完全1度・長3度・増5度)
・C – Em/B | C7/Bb – A7 | Dm – Dbaug | F/C – G7/B | ~
Dbdim(Ⅱb dim)
構成音:レb・ミ・ソ・シb(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・CM7 – Dbdim | Dm7 – G7 | CM7 – Dbdim | Dm7 – G7 | ~
◎ ルートが「Eb(ミb) 短3度」のコード
EbM7 (Ⅲb M7)
構成音:ミb・ソ・シb・レ(完全1度・長3度・完全5度・長7度)
・FM7 | Em7 | EbM7 | Dm7 | FM7 | Em7 | EbM7 | Dm7 | ~
Ebdim (Ⅲb dim)
構成音:ミb・ソb・ラ・ド(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・FM7 – G7/F | Em7 – Ebdim | Dm7 – G7 | CM7 – Gm7・C7 | ~
◎ ルートが「F#(ファ#) 増4度」のコード
F#m7(b5) (Ⅳ# m7(b5))
構成音:ファ#・ラ・ド・ミ(完全1度・短3度・減5度・短7度)
・F#m7(b5) – Fdim | Em7 – A7 | Dm7 – DbM7 | CM7 |
F#dim (Ⅳ# dim)
構成音:ファ#・ラ・ド・ミb(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・Am – Em7 | F – C/E | Dm7 – Am | F#dim – E7/G# | ~
◎ ルートが「Ab(ラb) 短6度」のコード
Abaug (Ⅵb aug)
構成音:ラb・ド・ミ(完全1度・長3度・増5度)
・Am | Abaug | C/G | D7/F# | C/G | F/C | C | C |
Abm (Ⅵb m)
構成音:ラb・シ・ミb(完全1度・短3度・完全5度)
・FM7 – Abm | Em7 – A7 | Dm7 – G7 | C – C7 | ~
Abm7 (Ⅵb m7)
構成音:ラb・シ・ミb・ソb(完全1度・短3度・完全5度・短7度)
・Am7 – Abm7 | Dm7 – G7 | Am7 – Abm7 | Dm7 – G7 | ~
Abdim (Ⅵb dim)
構成音:ラb・シ・レ・ファ(完全1度・短3度・減5度・減7度)
・G – Abdim | Am | G – Abdim | Am | ~
◎ ルートが「Bb(シb)) 短7度」のコード
Bb (Ⅶb)
構成音:シb・レ・ファ(完全1度・長3度・完全5度)
・Ab – Bb | C | Ab – Bb | C | ~
BbM7 (Ⅶb M7)
構成音:シb・レ・ファ・ラ(完全1度・長3度・完全5度・長7度)
・CM7 – BbM7 – CM7 | – BbM7 – CM7 | BbM7 – AbM7 – BbM7 | – AbM7 – BbM7 | ~
Bbm (Ⅶb m)
構成音:シb・レb・ファ(完全1度・短3度・完全5度)
・Bb – C | Bbm – C | Bb – C | Bbm – C | ~
Bbm7 (Ⅶb m7)
構成音:シb・レb・ファ・ラb(完全1度・短3度・完全5度・短7度)
・Bbm7 | C | Bbm7 | C | ~
いかがでしたでしょうか? とても多いでしょう!!
特に、ルート音が、F(ファ、完全4度)、F#(ファ#、増4度)、Eb(ミb、短3度) のタイプのコードは、使えると、とても表現力が上がるものが多いので、そこをマスターするだけでも、かなり良い変化が期待できると思います。
ここで紹介したものは、あくまで一例なので、もし「もっとこういうコード進行使えるぞ」「この表に載っていないけれど、このコードも使えるぞ」などありましたら、自分でどんどん工夫して、使われると良いと思います!
今回、このようなコード表、そして、実際の使用例を作ろうとしたきっかけですが、
「もし、これから作曲をしようとする人にとって、音楽理論を覚えることで、どういう良いことがあるんだろう?」
と、いう気持ちが、昔から少しあったからです。
確かに、音楽理論を覚えると、自分が何をやっているのかが明確になり、どうしようか迷った時の指標になる、ということは、間違いありません。そういう意味で、音楽理論は、絶対に知っておいた方が良いです。
ただ、「元々耳の良い人、勘の良い人」に比べて、理論を覚えたからといって、そういう人たちの作れないようなスタイルの楽曲を作れるようになるのか、と考えたら、少し疑問に思うことが、時々ありました。(つまり、理論を知っても、それで作れる楽曲は、理論を知らずに感覚的に作っている人と、そう変わらないのではないか、既成曲の解説が上手にできるようになるだけではないか、と思う時がありました)
もちろん、音楽の優劣と、音楽的に難易度が高いか易しいかは、全く関係のないものです。しかし、せっかく勉強したなら、「勉強していないけれど、耳の良い人、勘の良い人」を、いざとなれば難易度的にも凌駕できるような楽曲が作れるような力量が身に付けば、とても素晴らしいことだな、と思います。
そういう気持ちで、今回のようなコード進行例を作っていきました。これから作曲をしようと思っている人たちにとって、少しでも役に立つものになれたら、本当にうれしく思います。
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