その60 大殺界「停止」

2005年当時)
 
この頃の自分は、大殺界の真っ只中「停止」にあった。細技数子先生の六世占星術で有名になった大殺界・・・ 六世占星術は、自分の感覚では、「占い」というより、「統計学」に近いような気がする。
 
 
 
「大殺界なんて・・・」と思いたいところなのだが、自分の経験上、悔しいけれどそれなりに影響があるように思う。特に仕事に関しては、例年と同じ成果を出したければ、いつもの何倍もエネルギーを使わなければならない。この時は実績なんてほとんどなかったので尚更だ。
 
しかし、仕事自体は、とても良い内容のものができるので(占いに詳しい人に聞いてもそうらしい、とりわけアーティスティックな分野は尚更)、この年に書いた作品は、自信作と言えるものが多かった。その当時のレベルであることを差し引いても、今聞きなおしても、なんというか「オラオラ感」をすごく感じるのだ。(結果として身を結ぶのが、大殺界明けになることが多い、ということだ)
 
そして、あくまで経験上だが、この時期は体調が悪かったり、普段ならないような病気に悩まされたりする。この年も、原因不明の咳にずっと悩まされた。
 
春に生まれて初めて花粉症にかかり、、それが治ってからも、ずっと咳が止まらなかった。寝ていてもずっと咳いて止まらない。バイトや電話をしている時、歌を録っている時以外は、いつも咳をしている状態だった。
 
「肺炎になってしまうかも・・・」と思い、病院に行ってレントゲンで肺を何度か調べたが、すごく綺麗な肺だった。一応、薬をもらうのだが、一向に良くならない。それが数ヶ月続いた。
 
曲がなかなか決まらないことと相まって、体調的にすごい不安感に襲われることも多かったが、そんな時、友人にアドバイスを受けた。
 
「もしかしたら、肺じゃなくて、喉かもしれないから、耳鼻咽喉科に行ってみれば、快くなるかもしれないよ」
 
自分の感覚では、喉が悪いとは思っていなかったので、ちょっと驚いたのだけれど、だまされたと思い、近くの耳鼻咽喉科に行った。
 
「これは、花粉症から来ている、咳ですね。」
 
鼻からファイバースコープを差し込まれた後(これ本当に痛いですね)、即座に先生に言われた。確かに花粉症にはなったが、それが原因とは全く気づかなかった。
 
ずっと間違った治療をしていたのだ。完治するまで、しばらく喉の治療が必要となった。
 
数ヶ月経過して、やっと普通の状態に戻った。季節はもう、秋になっていた。
 
街中では相変わらず、知り合いのクリエイターさん達の作ったヒット曲が、たくさん流れている。疲れている時も、そういう曲たちを聴く度に、
 
「自分に負けるな、頑張れ!」
 
と何度も思った。
 

(前回) その59 ワルツ・フォー・デビイ とJ-POP

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