その43 ティム & スミス

2003年当時)
 
子ども向けの相撲の歌を、お相撲さんが歌えなくなって、急遽、N社長の友達のガーナ人二人が歌う、ということに。(今だから分かるが、勿論、まだこの時点では、企画を持っていく前の段階だ。)
 
そして、僕は日本語と歌の指導をすることになった。
 
「紹介しよう、今回歌を歌うことになった、ティムとスミスだ。(仮名)」
 
ここはティムの経営する、ガーナ料理のお店。なかなかお洒落なお店だった。ティムは恰幅が良くちょっと真面目そうで、スミスはスマートで背が高い。どちらも陽気で穏やかで礼儀正しく、大変ハートの良い人たちだった。日本に対しても、とても良いイメージを持ってくれていた。(ガーナ風カレーはとても美味しかった)
 
 
二人とも日本でお店を経営していて、店舗を拡大したくて、おそらくその宣伝になる、ということで、この企画に参加したのだと思う。ハングリー精神が素晴らしかった。
 
実際に歌ってもらうと、音楽を専門的にやっているわけではないのに加え、どうしても、言語の部分で如何ともしがたい部分があった。
 
でも、とても熱意のある人たちだったので(& 人生の大先輩なので尊敬していた)、少しでも良い歌を歌えるようになれば、と思い、可能な限りアドバイスした。面白かったのは、途中グダグダなのに、曲の最後の歌詞だけ、盆踊りのような手振りを加えて、ノリノリで歌うことだった。これが味になるとか、社長はそういうところを狙っているのかな?
 
こういう練習が何回か続いた。二人とも一生懸命だったし、練習は楽しかったが、やりながら、「この企画は多分通らないだろうな」と感じていた。これからデビュー予定の人達の指導というより、異文化理解として日本語の歌を教えている感じだった。でも、立場上、僕から「降ります」とは言えない。
 
ある時、練習前日に電話をした時、ティムに「私達いつデビューできるのですか?」と聞かれて、、、僕には権限がなかったけれど、だいたい雰囲気で分かるので、「ああ、本当にごめんなさい」という気持ちでいっぱいだった。
 
最後の方はN社長も来なくなって、僕とティムとスミスの3人で、練習する日も出てきた。やりながら、歌唱指導に対する、ギャランティの話が、社長から全く出てこないことは気になっていたけれど、でも、まだペーペーだし、しょうがないのかな、と思っていた。
 
そのうち、なかなか社長にメールや電話しても、連絡が付かなくなってきた。そんなある日、、、
 
Kですけど、お久しぶりです。あの、N社長のことで、ちょっと話があるのですが・・・」
 
以前、N社長の事務所関連で、ライブのバックバンドの仕事をした時にお世話になった、Kさんからのお電話だった。
 

(次回) その44 うまい話はない

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