洋楽は聴いた方がいいのか?

よく、プロ志望でやるやらないはさておき、音楽を本格的にやろうとするレベルになる頃、殊更に話題に上がるのは、「洋楽は聴いておいた方が良い」みたいなことだと思います。

僕は大学生の頃、軽音楽系サークルに所属していましたが、やはり、洋楽をたくさん聴いていたり、知識がたくさんある人というのは、それだけで格上のように思われ、一目置かれていたような気がします。そして大抵の人は、この時期に、洋楽の洗礼を受けていたような気がします。

ただ、洋楽といっても、実際はものすごく幅広いものです。時代でいっても1970年代と2010年代のものでは全く違いますし。僕はいつも思うのですが、「自分は音楽通だ」と自負していて、実際にたくさんの音楽を聴いている方でも、全世界の音楽を100とすると、せいぜい20か、多くて30くらいしか聴いていないのではないでしょうか? もちろん、僕もその一人です。

僕が大学に入学して、軽音楽部に入った時、まず、ハード・ロック、ヘヴィ・メタルと言われる音楽に触れました。

それまでも、元々、洋楽は結構聴いていた方だと思うのですが、スタンダード・ポップスや流行り物がほとんどでした。カーペンターズ、ビリー・ジョエル、サイモン&ガーファンクル、ボズ・スキャッグス、グレン・メディロス、マイケル・ジャクソン、マドンナ、ホイットニー・ヒューストン、、あとは前回のブログで書いた、レイ・チャールズ、レオン・ラッセルetc…

 

有名な映画音楽も、かなり聴いていました。ムーン・リバー、シェルブールの雨傘、愛と青春の旅立ち、雨に唄えば、追憶、ある愛の詩、風のささやき、ロミオとジュリエット etc… 数え上げるとキリがありません。ほとんどは、実際に映画を観たこともないものばかりでした。エレクトーンを習っている時に、興味を持った曲がたくさん入ったカセットテープを買って(当時はカセットテープだったのです!)、ずっと繰り返し聴いていたのです。

そして、何度か書きましたが、フュージョンです! 日本のT-SQUARE さんから入って、わけも分からぬまま、FM放送を録音した、ボブ・ジェームス、デイヴ・グルーシン、シャカタク、スパイロ・ジャイラ、イエロー・ジャケッツetc…

 

そういう音楽を経て、ハード・ロック、ヘヴィ・メタルに出会って、、、それまで聴いてきた洋楽とは、かなり違いましたが、それほど抵抗なく、それらの音楽に馴染むことができました。

すんなり入れたのは多分、バンドで初めて演奏した、そっち系の音楽が、ディープ・パープルというバンドだったのが、大きかったかもしれません。骨太で熱い大人のロックだけれど、とてもキャッチーで、また、ジョン・ロードという、とても優れたキーボーディストがいたので、すぐに気に入りました。

 

その後も、先輩や同学年の友達が、いろいろ教えてくれます。ドリーム・シアター、エアロ・スミス、ガンズ&ローゼズ、Mr. Big、ボン・ジョヴィ、ジューダス・プリースト、メガデス、メタリカ、スレイヤー、イエス、ELP etc… 今思えば、それほどマニアックではなく、入門者にも入りやすい音楽が多かったかもしれません。

 

これらの音楽にどっぷりハマったわけではないのですが、知らず知らずのうちに、美味しいとこ取りで聴いて、その後、最も好きなアーティストの一人、デヴィッド・ベノワさんの音楽に出会い、スタンダード・ジャズ、ファンク、ソウル、古いロックetc…  そんな感じで、学生時代は音楽の幅を広げていきました。

その後は、演奏する仕事で、オールディーズ、ダンス・クラシック、シャンソンetc、作曲家を目指しだした頃からはR&B、HIP HOP、アシッド・ジャズ、ハウス etc…

 

「洋楽は聴いた方がいいのか?」と言われると、正直、その当時と今では、全く時代が違いますし、気になる音楽があれば、簡単に検索して、YouTubeやストリーミングサービスで聴ける時代なので、特別なものとして構えて聴く必要があるのか、なんともいえません。

しかし、もし「音楽を、特に作曲を本格的にやりたい」という気持ちのある方は、「食わず嫌いをしない方が得なこともある」と言えるかもしれません。

邦楽と洋楽には、それぞれの良さがあり、優劣は基本ないと思っているのですが(僕はクラシックもアイドルも同じ感覚で聴いています)、ただ「ポップスの曲の骨格」という面でいえば、洋楽(やそれに近い構成を持った音楽)が基本になっている部分も、とても多いからです。

流行り物の音楽だけを聴いていると、その骨格が、あまり分からないままになることもあるかもしれない、と少し思います。流行り物の基本が不十分、と言う意味では全くなく、聴きやすくアレンジされる前の「原型」を知っておいた方が、流行り物を作るのにも、とてもアドバンテージになるのでは、という意味です。

僕が、学生時代にジャズピアノを少し習ったのも、「できているつもり」だと思っていたことが、全くできていないことに気付いたからでした。ジャズも、食わず嫌いをしないで聴いたロック全般も、作曲や編曲の仕事をする上で、アイデアの部分で、今ひじょうに役立っています。

ただ、、、ここまで書きつつ、もう一つ思っていることもあります。それは、「『原型』を知らずに作ることが、ものすごい才能のある人の場合、却って今までにない発想の、面白い音楽を生み出すことにも繋がるのではないか?」ということです。この方法も、とても大きな可能性を秘めているかもしれません。リスクもあるかもしれませんが 笑

「結局どっちなんだ?」という話ですが、、僕は「仕事として長く続ける、信頼される」という意味では、洋楽(というか原型の音楽)は聴いた方が良いと思い、

また「今までにない発想で、斬新な音楽を作る」という意味では、原型の音楽を、敢えてほとんど聴かない、という方法もありかもしれない、と思っています。

そして、これは実はすごく重要なのですが、「メロディを良くしたい」と思う人は、新旧の邦楽と、スタンダード・ポップスや映画音楽、クラシックの有名な楽曲を、とにかくたくさん聴くことが大切です。結論として、「どんな音楽も食わず嫌いで聴いておいて損はない! その後で気に入るかは人それぞれ」ということですね!

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