よく会う人は好きになる、会えない人には会いたくなる ただし・・・

作曲をする際、「良いメロディを書くコツはあるのでしょうか?」という話を、時々聞きますが、これは、実は、あると思います。

音楽をやる時、努力である程度できる分野、というのがあります。たとえば、アレンジだったり、ミックスなどのエンジニア・テクニックだったり、、

僕は実は、このあたりを、努力でなんとかなんとか頑張っているタイプの人間なのですが、これらの分野は、意外と、努力したら、それなりに成果が出やすいものではないかな、と思っています。(ただし、この分野は向き不向きがあって、向いていない人には、とことん向いていない可能性があります 笑)

そして、作曲の際の、メロディ・ライティングなのですが、「メロディは才能、感性」と、思われがちなのではないかな、と思います。実際、僕もそうではないかな、と感じることも多々あります。

しかし、、それでも僕は、「作曲におけるメロディ・ライティングは、ある程度は、努力でなんとかなるもの」ではないかな、と思っています。「努力」という言葉が合わなければ、「コツ」かもしれません。

その「コツ」というのが、タイトルに書いた、

「よく会う人は好きになる、会えない人には会いたくなる」

だと思います。僕は、人に教える機会がある時、この例えを使っています。なにやら、90年代のバブリーな、月9ドラマのタイトルみたいですね 笑

ここでいう「人」というのを、メロディにおける最小単位である、「モチーフ(1 or 2小節単位のフレーズ)」に、置き換えて、考えていけば、いいのです。

友達関係、恋愛などに置き換えても、よく会う機会のある人は、仲良くなって、好きになりやすいと思います。

それと同じように、曲の最小単位である「モチーフ」を、そのまま反復したり、少し形を変えたり、同じ起伏をもったまま、音程を上げたり下げたりして、大きなひとまとまりのメロディにしていけば、、、

その大きなひとまとまりのメロディは、聴いた時に、とても親しみやすいものになっているはずです。小さな「モチーフ」が、何度も使われているわけですから、メロディが、知らず知らずのうちの、対人関係でいうところの「何度も同じ人に会っている状態」に、なっているからです。少しメロディの形を変えるのは、「あの人のこんな一面も見れた」みたいにも、捉えられますね。

この手法を、非常に効果的に使っていると、僕が思う作曲家の方は、海外だと、フランスの故ミッシェル・ルグランさん、日本だと筒美京平先生だと思います。(一流の方は皆そうですが、その中でも特に) 特に、筒美京平先生のメロディは、ポップスの曲を書きたい人なら、教科書のように研究すると、素晴らしい効果が出るのでは、と思っています。

また、別の種類のモチーフと組み合わせたりすることも、効果的です。人は、いくら仲が良くても、たまには別の人に会いたかったり、また、いつも二人ではなく、複数の人で会いたかったり、するものではないでしょうか? メロディも、同じことだと思います。

2小節単位のモチーフが4種類あって、それぞれ、A、B、C、D として、

A – B – A – C

A – B – A – D

こういう風に作っていくことも、よくあります。

この場合も、モチーフAが4回、モチーフBが2回、出てきます。つまり「何度も人に会っている状態」になります。

そして、(A – B)(A – C)(A – D)というのは、別の見方をすれば、4小節単位のひとまとまり(小楽節ともいいます)と考えることができます。これを、たとえば、α、β、γ とすれば、このメロディは、

α – β – α – γ

で、成立しているメロディ、とも言えます。この場合も、α が2回出てきて、しかも、β、γも、モチーフAを含んでいるので、αから派生したメロディです。つまり、「何度も人に会っている状態」になっているのです。

ここに挙げたのは、ちょっとした例ですが、このように、フレーズの最小単位「モチーフ」を、反復したり、応用したり、何種類か組み合わせていくことで、メロディを、耳に残りやすい、親しめるものにしていくのです。

では、同じモチーフを使わないで、成立しているメロディは、つまらないものになってしまうので、あまり、そういうメロディは、作らない方がいいのでしょうか?

それでも、良いメロディにすることは、可能だと思います。そういう場合は、

「とても魅力的だけれど、時々しか会えない人は、会えるとうれしい、そしてまた、会いたくなる」

そういうふうに、考えていけば、いいのでは、と思います。「会いたい」は「聴きたい」に置き換えられます。

たとえば、CHAGE & ASKA さんの「not at all」、ASKAさんの「けれど空は青」などの、サビのメロディは、モチーフでいえば、

A – B – C – D

で、成立していると思います。(あくまで、僕の解釈です) でも、誰が聴いても、名曲です。そして、このメロディは、次に、2コーラス目のサビが来るまでは、再び聴けません。

ここで、気付いた方がいるかもしれませんが、モチーフを繰り返す以前に、ものすごく大切なのは、「モチーフそのものが持つ『質』が良くなければならない」ということです。

モチーフをいくら反復したり、応用しても、もしそのモチーフ自体が、つまらないものであれば、

「ただ単に、耳につくけれど、つまらない曲」

になってしまいます。

もし、自分が顔を合わす相手が、文句ばかり言ったり、自慢話ばかりしたり、意地悪だったり、わがままだったり etc…

そういう人だったら、いくら頻繁に会っても、全然うれしくないし、「ああ、またあいつか~」となってしまうし、もし、一度しか会わずに済んだら、「ああ、会うのが一度きりで済んでよかった~」と、思いますよね。

この、「モチーフの『質』を磨く」というのが、本当に難しく、大切なことで、これに関しては「どうしたらいいのですか?」と聞かれても、正直、答えづらかったりします。(というか、あまり答えたくありません 笑) 才能や、育った環境に因る部分も大きいかもしれませんが、いろんな音楽を聴いて研究する、センスを磨く、普段の行動に注意するetc… そういうことが大切なのかな、と思います。

ここまで書いたような、「モチーフ」からメロディを展開していく手法は、実は、普通に曲を作っていると、誰でも、ある程度は、自然にできていたりします。なので、説明を聞いても「なんだ、そんなの簡単なことじゃないか」「そんなの、誰でも分かっているよ」と、思う人も、きっといると思います。

しかし、誰でも分かるようなシンプルなことだからこそ、これを常に「意識して」メロディを書くことが、とても大切です。これを意識している人と、していない人では、雲泥の差が出てきます。とにかく「意識する」ことが大切です。

メロディを良くしていく方法は、まだまだいろいろあるのですが(ここでは、メロディとコードの相関関係も説明していませんし)、まず、基本となるのは、メロディは、その最小単位になる「モチーフ」を使って展開していく、ということを、しっかり認識しながら、書いていくことが大切だと、個人的に思っています。

って、こんな企業秘密なこと書いて、大丈夫かな…

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