音楽理論は必要なのか2

先日、ある方とお話ししている時、「音楽理論をいつ覚えたのですか」という話題になりました。その時思ったのですが、僕の場合、音楽理論を覚える順番が、一般的とはかなり違うかもしれません。

最初、僕は音楽理論を全く知らないまま、電子オルガン(エレクトーン)をずっと弾き続けていました。

知っているのは、メジャー、マイナー、メジャー・セブンス、サスフォー、オンコード(分数コード)くらいです。

それもたとえば、「メジャー・コードは、構成音が完全1度・長3度・完全5度」とか、そういうことは全く知らず、「響き」と「指の押さえ方」で覚えていました。

そして、長調(明るい調)と短調(暗い調)、というのがある、というくらいです。

電子オルガンで演奏する曲は、フュージョンやジャズ、洋楽のスタンダード・ポップスが多かったのですが、、

これらの曲は、本来は「音楽理論にかなり精通していて、自在に使いこなせる」人でないと、演奏できない曲がほとんどです。

しかし当時、素晴らしい電子オルガンのプレイヤーの方々がアレンジされた楽譜が、たくさん出回っていましたので、音楽理論を全く知らなくても、ひたすら楽譜通りに練習して弾くと、素晴らしい演奏ができるようになっておりました。(自分の演奏力が素晴らしかったかは分かりませんが) ちなみにその頃、僕が好きだったプレイヤーは、松田昌さん、塚山エリコさん、セキトオシゲオさん、中村幸代さんetc… でした。

なので、音楽的知識がほぼ皆無なまま、僕は、テンションコードの響きや押さえ方、理論を知らなければ使えないようなコード進行 & 即興演奏でよく使われるようなフレーズを、何回も何回も練習して、弾けるようにしていました。コードも、何のテンションが入っているか、なんて全く分かりませんが、指の形と響きで、なんとなく覚えていきました。

そして、大学時代に軽音楽部に入った時、、初めてそういった楽曲(ポピュラー・ミュージック)が、実は0から100まで楽譜で書かれた通りに演奏されているわけではなく、コードと、リズムやフレーズのキメが書かれた譜面を見ながら、最低限合わせるところは合わせて、後は個人の判断で、その場の雰囲気を読んで適切な演奏をすることによって成立している、ということを知ったのです。つまり、同じ曲の同じ雰囲気のアレンジの演奏でも、100人いたら、100通りの演奏がある、ということを知りました。

様々な種類のコードは、それぞれちゃんと構成音が決まっており、それを知っていれば、コードネームを見れば、鍵盤を押さえることができる、ということが分かり、まずは、最低限知っておいた方が良いコードを、構成音で覚えていくことを勉強しました。(この時点で、テンションコードは覚えていません) これは比較的、容易にできましたが、その時点で、響きと押さえ方で、聴いた音を、なんとなくコードとしてとらえて弾くことができた僕には、このことが、それほど役に立つものなのか、あまり重要性を感じていませんでした。即興演奏も、なんとなくできている気になっていました。

ある時、先輩方のファンクバンドに入れていただいて、1発コード、2発コードで、各楽器がソロを延々と続けるような楽曲をライブで演奏した後、カセットテープで録音した自分の演奏を聴いた時、、あまりのカッコ悪さに愕然としました。この時初めて、「できているつもり」というのが、いかにいい加減な、カッコ悪いものなのか、というのを、心の底から、実感しました。

それから、僕は約一年間、マンツーマンで、ジャズピアノを習うことになりました。初回はいきなりブルース、それも、ジャズブルースです 笑。いきなり、9thや13thなどの、テンションコードがバリバリに入った、コードの押さえ方を教えてもらい、その時点で、「そう、この響きだ。これは、なんてすごいことなんだ!?」と、驚愕したのを覚えています。この時から、響きや押さえ方ではなく、「ちゃんと意識をして」コードを弾けるようになったように思います。

(この時点では、トニック、ドミナント、サブドミナントも、名前は知っていたかもしれないですが、理解としてはかなりあやふやです)

セブンスコードにテンションを入れる方法を覚え、ブルースの各コードで使えるスケールを覚え、、次はドリアン、フリジアン、リディアンetc…のモード(ここからして、かなり順番に無茶があります 笑)、コーダルな曲、ツーファイブ、裏コード、ドロップ・ツー、アッパー・ストラクチャー・トライアードetc…

これらを、メロディ、バッキング、時にはどちらも混在させた奏法で、即興で演奏する練習をしていきます。

即興演奏は、僕は結構、メロディもバッキングも、間を取らずに弾きすぎるきらいがあり、また、良いフレーズを弾いたのに、それを生かさず、すぐ別のフレーズを弾いてしまう、勿体無い演奏が多く、先生には、かなり注意されました。またベーシスト、ドラマーなど、他のプレイヤーが、どんな演奏をしているかをしっかり聴いて、グルーヴは勿論、瞬間的にそれに反応して、最も適切な演奏をしなければいけない、ということも学びました。

この頃、いろんなジャズ・ミュージシャンの演奏を聴く時、「間」というのを、ものすごく注意深く聴いていました。僕が特に素晴らしいと思ったのは、日本では純然たるジャズのカテゴリに入るのか分かりませんが、「マルコ・ポーロ」「はげ山の一夜」「ウェストチェスター・レディ」などで有名な、フュージョン界の巨匠、ボブ・ジェームスさんでした。(今調べましたが、ボブ・ジェームスさん、現在なんと80歳なんですね!)

 

この時点では、ジャズの即興演奏のセンスは、それほど付いておりませんでしたが、「耳コピが以前に比べ、格段にできるようになる」という、思わぬ効果が現れました。曲の中に出てくる、テンションノートなども、前より確信を持って音が取れるようになりました。電子オルガンをやっていたためか、リズム感は比較的良い方だったのではないかと、思います。

さあ、、ここまで来たら、音楽理論はひととおりマスター、、、と言いたいのですが、まだ大事なところが抜けておりました。そう、一般的な音楽専門学校生が習うような、一番基本的な、しかしすごく大切な音楽理論が、まだほとんど身に付いていないのです。

(つづく)

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音楽理論は必要なのか2」への1件のフィードバック

  1. Love the photo of you and Sherif. That was the evening in Mansilla de las Mulas when we made a giant pasta and tomatoes dish shared by everyone, the last time we were together before going different ways. You and the film crew went on to Samos; Sherif, Kelly and I walked to Leon. Ailene Ryun Arvo

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