作曲家から見た、CHAGE & ASKA その5(最終回) ~歌詞の世界~

今回が、CHAGE & ASKAさんについて書く、最終回となります。今回は、CHAGE & ASKAさんを語る上で、絶対に忘れてはならない、歌詞の世界を書いていこうと思います。(以下、C&Aさんと表記させていただきます)
 
 
※ 今回、歌詞のフレーズを、どの辺りまで書いていいものかどうか、念の為、最初にJASRACさんに問い合わせました。このブログの運営サービスの場合、全て記載とかは無理ですが、「引用」「批評」に当てはまるなら、常識の範囲内でしたら、というお話でしたので、書かせていただくことにしました。おそらく大丈夫かと思いますが、もしまずそうな箇所があった場合、後日、内容を多少、微調整するかもしれません。
 
 
C&Aさんを、初めてちゃんと意識して聴くようになった時、僕は高校生だったのですが、感じたのが、「比喩が多くて、難解な歌詞の曲が多いな」ということでした。「SAY YES」のようなラブソングはともかく、いわゆる応援歌のようなタイプのもの(C&Aさんの場合、応援歌というカテゴリーに入れるのも難しいのですが 笑)に、特に感じました。
 
たとえば、「PRIDE」は、初めて聴いた時、「これはものすごい名曲だ!」ということは瞬時に分かりました。しかし、歌詞の意味が分かったか、というと、正直、難しすぎて、よく分かりませんでした。女性との別れの歌なのか、サビに出てくる「PRIDE」は、何に対してのものなのだろう? とか。
 
しかし、大人になるにつれて、年を経過すればするほど、、、この「難解さ」が、人間の複雑な感情を表現しているものとして、すごく実感できるようになってきました。おそらく、若い方でも、本気で毎日生きている人、感受性の強い人なら、十分実感できるものだと思います。C&Aさんの歌詞は、一見、難解にも見えますが、聴いた人たちが共感できる、そういう歌詞が大変多いように感じます。
 
 
「オイルの切れた未来のプログラム 大事に回してる / 太陽と埃の中で」
 
「パズルのような 言葉を並べただけで 明日のチャイムを押してた / THE TIME」
 
「ダイヤモンドさえも 年を重ねてる まして星なんて 燃えて消えて行く / 晴天を誉めるなら夕暮れを待て(ASKAソロ)」
 
 
疲れ切っているけれど、倒れてはいけない立場で頑張っていたり、「こういう風にしたい」と理想があるけれど、なかなかできずに惰性で時が過ぎていったり、良いことがあっても、それは永遠に続くわけではないことだと分かっていたり etc…  どれも、頑張って生きていると、どこかで誰もが実感するような、歌詞ばかりです。(「PRIDE」の歌詞の意味も、大人になって分かりました)
 
 
そういう感情を、決して人に対して「人間はこうやって生きるべきだ」と、説教っぽく押し付けるわけではなく、自分自身のこととして歌われているので、自然に聴き手も共感できるのです。
 
また、そういった歌詞を書く時も、C&Aさんは、安易な表現を用いず、見落としてしまいがちだけれど、「そういう感情は確かにある!」と思える、絶妙なフレーズを持ってきます。
 
僕の大好きな曲で「砂時計のくびれた場所」の中に、
 
「空を追い駆けて みたくなった 勇気じゃない あなたの愛で」
 
というフレーズがあるのですが、並の人なら、「空を追い駆けてみたくなった」ことの動機として、
 
「あなたのおかげで勇気が出た」
 
とか
 
「あなたのために勇気を出した」
 
と書くと思うのですが、
 
「勇気はないけれど、あなたの愛があるから」
 
と、しているのです。なかなかこういう表現はできない、しかし、誰もが持ち得る感情だと思います。
 
そして、、なんだかんだ言って、やはりCHAGE & ASKAさんと言えば、ラブソングも秀逸です。
 
パッとした印象ですが、CHAGEさんの方が「カラッと サラッと」な感じ、ASKAさんは「ドロっと」した感じがします。(あくまでも傾向です) CHAGEさん的世界観が、「Mr.Jの悲劇は岩より重い」なら、ASKAさん的世界観が、「Girl」のように。
 
このラブソングの、「振り幅」が、あまりにもすごいのです。僕は、iTunesに、C&Aさんのラブソングを厳選したプレイリストを作っていますが、その中で、我ながらなぜそうしたのか(多分、テンポや曲調だと思います)、
 
「SAY YES」「no no darlin’」「HOTEL(STAMPバージョン)」「モナリザの背中よりも」
 
という順番がきます。これを、歌詞を基準にして聴くと、思わず笑ってしまいます。使う文体、表現で、「同じ『人間』が書いている」というのは分かるのですが、「同じ『人間性』の人が書いている」というのが、ひじょうに驚きです。
 
 
「言葉よりも やさしいお花を いつもふたりで 育てて行こうよ / no no darlin’」
 
と歌った人が、一方では、
 
「”愛してる?” って聞かないで 抱かなきゃわからない / HOTEL」
 
と、鬼畜のようなことを歌っているのですから。(最高の褒め言葉です!)
 
 
甘いラブソングばかりではなく、大人の男女の行為や、倫理に反する関係を書いたものも少なくないのですが、不思議なのは、それらが、決して下品な作品になっていなくて、「モナリザの背中よりも」のように美的感覚、相手に対する暖かい愛情が表現されていたり、また、多少下品であっても、「HOTEL」のように、それを軽く超越するくらい、カッコいいものだったり、とにかく、振り幅の凄さ、それに伴う美的感覚やカッコ良さ、というのを感じます。

(訂正:「HOTEL」を改めて聴いてみましたが、歌詞は過激ではありましたが、全く下品ではなく、むしろ美的感覚に満ち溢れたものでした。)
 
そういうところも、ステレオタイプにはまらず、誰もが持ち得る可能性があるけれど、見落としがちな感情、というのを、繊細かつ大胆に表現できる、C&Aさんの個性なんだろうな、と感じます。
 
ASKAさんご自身のいろんなインタビューを読んだ感じ、歌詞を書くのが苦手、という自覚があるみたいですが、おそらくその自覚から、人一倍、謙虚な気持ちで、真摯に作詞に取り組まれているのではないか、だからこそ、あそこまで感情の細やかな部分を表現できるのでは、と思います。
 
そして、なんとなく、「人間は完全ではない、ミスをする生き物」という認識が前提にあり、だから、「(自分自身も含め)人の弱い部分も許して行こう、受け入れて行こう」という、寛容さも、歌詞から感じます。
 
 
これだけは言いたいのですが、10年以上前、ある場所のパーティで、業界の大物アーティストさんと何度も仕事されている、エンジニアさんとお話したことがあり、いろんな方々の武勇伝? 的なものもたくさん聞きました。すごい話(法に触れるものではないです)も結構ありました。
 
その時、「実はASKAさんのファンなんです」とお話ししたら、
 
「ASKAさんですか? あの人は、、、悪い噂は全然聞きませんね。どこにいっても『あの人はいい人だ』で通っています。『男が男に惚れる』そんな感じの人ですね。ああ、ASKAさんですか、あの人は本当に良い人ですね」
 
という、お話でした。 

 
また、僕の学生時代の後輩で、C&Aさんのファンがいて、ある繋がりで関係者としてASKAさんのライブを観に行ったあと、楽屋で挨拶をしていただいたらしいのですが、その時、終わったばかりで汗だくになりながら、握手してくださった(それも、大勢いる関係者の一人として形式的なものではなく、本当に心の底から「ありがとう」と言いながら)そうです。
 

その後いろんなことがありましたが、、もちろん罪は罪として、これが、実際の人物像だと思います。

 
 
歌詞に関して、まだまだもっと書きたかったのですが(「SAY YES」も「はじまりはいつも雨」も書いていませんし、僕が大好きな「伝わりますか」「Girl」「モーニングムーン」の解説も書きたかったです って全部不倫ソングじゃん だめじゃん 笑)、あまりにも膨大な量になりそうなので、、そろそろ、CHAGE & ASKA特集はこのへんにして、通常モードに入っていきます。(また気が向いたら、書かせていただくかもしれません)
 
そして、元々、このブログを読んでくださっていた方、アイマスファンや、C&Aさんのファンの方々etc… 途中から興味を持って読まれるようになった方々、本当にありがとうございます。もしご興味ありましたら、僕が世に出した音楽、これから世に出す音楽も、ぜひチェックして、聴いていただけると、大変うれしいです。
 
J-POPはもちろんですが、近々、YouTubeを使って、未発表曲の音楽配信もしようと思っております。そちらの方もご興味あれば、ぜひ聴いてください! また報告致します。
 
今後ともどうぞよろしくお願いします! みなさまにとって健康で良い一年になりますように。
 
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