作曲家から見た、CHAGE & ASKA その1

CHAGE & ASKA さんの魅力は、本当にA4サイズの用紙が数100ページあっても語り尽くせないものがあるのですが、二人の歌唱力の素晴らしさは、いろいろな方面で語られてきておりますので、ここでは、楽曲(主に作曲)を中心に、書いていこうと思います。
世の中には、素晴らしい楽曲を書いているアーティストが、本当にたくさんいらっしゃるのですが、この人たちの楽曲というのは、かなり独特なものに感じます。
すごく変な例えなのですが、もし僕がすごく悪い人間だったとして、絶対にやってはいけないことですが、誰か有名アーティストのゴーストライターを依頼されて、それを引き受けたとします。
歌詞とサウンド面はさておき、作曲面では多分、ほとんどの方のゴーストは、なんとかできると思います。(もちろん、本家とのレベルの差はかなりあると思いますが。)
しかし、もし、CHAGE & ASKA さん(今なら単体)の、そういった仕事が来たと仮定した場合、多分、僕は断ると思います。それは、「能力的に絶対にできない」からです。この方達の楽曲は、普通の人が努力したり、勉強したりして、作れるものではないと思います。一番好きなアーティストの一組であるにも関わらず、です。
大方のアーティストさんは、曲を聴いていると、「多分、この人のルーツはこういう音楽で、こういう音楽が大好きで、こういう勉強をしたり練習をしたりして、今こんな曲を書けているんだな」というのが、なんとなく分かるのですが、この、CHAGE & ASKA さん(特にASKAさん)に関しては、全く分からないことが多いのです。ASKAさんが昔の良質な歌謡曲、CHAGEさんがビートルズに影響を受けていることは、なんとなく分かるのですが。(以下、C&Aさんと表記させていただきます)
一般的な天才達の「こういう音楽を聴いて、こういう努力をしたら、こういう音楽になる」という、いわば法則が、ほとんど当てはまらない、そういう独自性が、C&Aさんにはあると思います。もちろん、私たちの比較に全くならない位、ものすごく音楽が好きで、ものすごく研究して努力している筈なのですが、その先のゴール(楽曲として表現しているもの)が、他のトップアーティストと全く違う場所にある、そんな気がします。だから、僕にとっては「ものすごく努力しても、勉強しても、絶対に作れない音楽」のように感じます。
たとえば、「なぜに君は帰らない」という、名曲がありますが、この曲は確かに、サウンド面などは、Queenを意識したものであることは、確かだと思います。でも、曲全体を聴いた時に、「Queenの音楽にものすごく傾倒している」ようには感じず、また、だからといって、「とりあえず、有名な曲の美味しいところをとってしまえ」という、安易な発想にも、全く感じません。アーティストとしても音楽性もリスペクトしていながら、それを取り入れつつ、しかし仕上がりは、全く違う、自分達独自の個性の音楽、として、昇華させている、そんな印象を受けます。
これを、凡人が真似しようとすると、どちらかというと「音楽的な理解が浅いために、表現仕切れていない音楽になってしまった」印象を受けるのですが、C&Aさんの場合、そういったものは全く感じられず、「吸収しながら傾倒しない、全く違う、自分たち独自の個性のある音楽」に、してしまうのです。こういうタイプのミュージシャンは、かなり稀です。
そして、もう一つ、あまり語られていないことなのですが、C&Aさんの凄さというと、どうしても、独自のコード進行を使いながらも、キャッチーで深みのあるメロディを書く、この部分ばかりが強調されがちですが、実はそれとは反対に、典型的な王道コード進行しか使っていなくても、ものすごく印象に残る、感動する、とびきりのメロディを書ける、そういう素晴らしさも持ち合わせています。
たとえば、「ひとり咲き」「男と女」「終章(エピローグ)」「伝わりますか」etc… ほぼ、王道のコード進行しか使っていませんし、飛び道具が入っているわけではありませんが(細かい箇所はかなり練られていると思います)、でも、どの曲達も、凡人だと人生で一度書ければ満足、と言えるような、素晴らしいメロディばかりです。
つまり、
「奇想天外な独自なコード進行なのに、誰もが親しめるメロディを書ける」
と同時に、
「典型的な王道コード進行しか使っていなくても、ありきたりでない、出色なメロディを書ける」
それでいて、
「全く器用貧乏ではなく、誰にも真似できない、独自の個性を持っている」
これが、C&Aさんの音楽の、素晴らしさだと思います。なんか書いていて、羨ましくなってきました 笑

一度では書けそうにないので、また次の機会に、C&Aさんの音楽の魅力について、書いていきたいと思います。(僕はC&Aさんに全くお会いしたことがないので、この認識が本当に合っているのかは分からないのですが、僕なりに感じていることを書いてみました。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *