MOTU Digital Performer 10

僕がメインに使用している、DAW(音楽を制作するためのソフト)は、MOTU(Mark of the Unicorn)社の、Digital Performer 10 というソフトです。

これを使い始めたきっかけは、昔プロを目指していた時、どうしてもお店で売っているCDのようなアレンジ、音が出せなくて、どうしたものかと悩んでいた時に、超低価格で音楽制作を教えてくださった方がいたのですが、その時のレクチャーで使用していたのが、このMOTU Digital Performer(略してDP)だったからです。それ以外の理由は特にありません。当時のバージョンは3でした。
先生は、「Digital Performerで、できないことはない」と、常々仰っていて、実際に、先生の作る音は、当時の最先端で、音楽センスも音質も、素晴らしいものがありました。
それから数年経過し、、DPのバージョンが6になった時、あまりにもバグが多くて、自分の環境だと動くのがやっとの状態になりました。(結局バージョン5を使っていました) この頃にDPから、Apple Logic Pro 9 に移行した、Macユーザーのクリエイターの方も多くいらっしゃったと思います。僕自身も、一時期、Logic Pro 9 をメインに、と考えていた時期がありました。
DP以外のDAWを使うとすごく分かるのですが、Logic Pro や CUBASE、STUDIO ONE などのDAWは、初めてコンピューターで音楽を作る人や、音楽自体が初心者の方でも、手軽にそれなりに曲が作れてしまうような便利な機能、豊富なソフト音源、エフェクトが付属しています。それらの機能や音源から触発されることによって、できてしまう楽曲もとても多いと思います。
もし、最初にそれらのDAWを触った方が、DPを触ると、あまりにも潔いくらい、付属ソフト音源、エフェクトも少なく(ただ性能はなかなかのものです)、人間自身がやらなければならない作業が多いことに、最初は戸惑うかもしれません。はっきり言って、このDAWを使うことによって、感性的に「触発される」部分は、かなり少ないです。だから、普段から感性は磨いておかなければなりません。
なので一時は、「おじさんの使うソフト」と揶揄されることもあったDPですが、僕は結局、メインの制作ソフトを、Logic Pro ではなく、DPのままにしました。
DPは、「ダンスミュージック、クラブミュージック系に弱い」と言われていた時期もあったのですが、その頃ちょうど、テイ・トウワさんの「SUNNY」というアルバムを聴いて、DPで制作されているとのことで、「なんだ、これでいけるじゃん!」と、思ったのが決め手でした。

昔、Logic Proで制作した曲が採用されて、アレンジも担当したのですが、デモアレンジの時点までは良かったのですが、そこから先の作業工程が、とにかく大変でした。感覚的な話ですが、DPは「広い庭」なのですが、Logic Proは、「マンションのベランダ」のようなイメージでした。あくまで僕にとってはですが、作り始めるのが楽しいのがLogic、ゴールが楽しいのがDP、とも言えるかもしれません。
そのうち、サード・パーティ(付属されたものではなく、どんなDAWでも使えるタイプ)のプラグインが、かなり進化し、比較的安価で手に入るようになったので、「DAW付属の音源が少ない」ことは、それほどディスアドバンテージにはならなくなり、ジャンル的には、(多少の向き不向きはあれども)どのDAWでも同じように作れるようになりました。
そうなってくると、後は、純粋に楽曲制作をしやすいか、基本機能がどれだけ使いやすいか、という部分で、DAWを選んでいけばいい、と思います。これは、制作スタイルにもよるので、本当に人それぞれだと思います。
DPは、「音楽的知識がそこそこあって、バンドや楽器演奏をやったことがあるけれど、コンピューターを使った音楽制作は初めて」という人には、すごく向いている気がします。今はMacだけでなく、Windows版もありますし。(ただ、サードパーティを買う余裕はない、まずは付属のプラグインで全部作りたい、と考えている方には、やや不向きです。)
僕の場合、メロディをかなり考えて作るので(一箇所でも納得できない箇所が無いように作ります)、一曲作る上で、細かい箇所を含めると、主メロのみで、5 ~ 10パターンくらいのメロディを考えることが多いです。DPには、midi テイク機能、というのがあり、場所を取らずに、一つのトラックの中で、何通りものメロディを試すことができます。(ここでは割愛しますが、DP最大の売りである「チャンク機能」の、midiトラックバージョン、という考えもできます)
また、僕はストリングスのパートを作る時、ヴィオラとチェロ、第1 & 第2ヴァイオリン、という組み合わせで、最初は同じトラックに、同時に入力していくことが多いです。それから、各パート毎に、データを別のmidiトラックに分けるのですが、このような作業は、DPだと、一瞬でできます。もちろん、他のDAWでもできるとは思いますが、DPほど手軽にはできないと思います。
その他にも、DPは、midiを再生する時、基本的に同じように再生される(理屈上は当たり前のことですが、そうならないDAWも多いです)、バウンスした時の音質がほぼ変わらない、また、バウンスせずにオーディオファイルを一本化したり、プラグインエフェクトをオーディオファイルに直接かけて書き換えることができる、歌のピッチ修正がひじょうにしやすい、などという、利点があります。
まだまだ数え切れないくらいあるのですが、こういった、「当たり前のことを当たり前のようにできる」ところが、MOTU Digital Performer 10 の最大の強みだと思います。そして、意外なことですが、DP10は、デザインがとてもクールです。
DP10は、まだまだバグも多いので、MOTUの代理店の、ハイ・リゾリューションのスタッフの方々には、かなり問い合わせをすることがあり、時には厳しいことも要求してしまうことが多く、後でちょっと反省することもあるのですが、
それだけ、MOTU Digital Performer 10 というDAWに思い入れがあって、真剣に使わせていただいているんだ、ということを、ご理解いただければ、とこの場を借りてお詫び申し上げます。 笑

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