その65 ラッシュ

2006年のお話)
ここからが、すごかった。
曲が恐ろしいくらいに決まり始めた。一週間に一度は採用決定か、楽曲キープの報告がきた。
もちろん、これは特別な状態で、数年に一度、あるかないかだ。いつもこの状態ならいいのだが 笑 そんなに上手くいくものではない。運も良くて、作品も良くて、自分の個性が、時代やクライアントに求められているものと、ピタッとハマった時にしか起こらない。たまたま、そういう時期に入っていた。(これを毎年ずっと実現できている方は、よほど実力があって、尚且つ人の何倍もの努力を継続している人だと思う)
よく、野球などを見ていると、バッターが絶好調の時、ホームランを連続で打ったり、全打席安打を放ったりすることがあるが、その感覚に似ていたかもしれない。「ゾーンに入った」状態だ。
それまで、「まだやってんの?」みたいな目で見ていた人も、なんとなく見方が変わってきたような気がした。
とにかく、事務所から電話がかかってきたら、「あ、また曲が決まったのかな、それともキープなのかな」という、今考えたら、かなり贅沢な思考になっていた。有頂天にならないよう、その時しっかり喜んだら、なるべくそのことは忘れて、今後作る曲のことを考えるようにした。
この時点で、僕はまだ、シングルA面というのをとったことがないし、オリコン上位に入る曲も書いていない。アレンジも担当していない。勘違いせず、そこのポジションをとるまで、またとった後も、謙虚に謙虚に、やっていこう。採用決定した曲にしても、実際のリリースはやや先なんだし。
とりあえず、「プロの作曲家と名乗れるように、メジャーで活動しているアーティストに、最低でも3曲は書きたい」というのが自分なりにあったので、そこはなんとかクリアできたかな、と思った。
3月には、昨年末に決まった楽曲が収録された、上戸彩さんの4枚目のアルバム「License」がリリースされた。僕の書いた曲は「1 million thanks」というタイトルで収録され、作詞は、古内東子さんだった。

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