その50 先に行けない

2004年当時)
 
映画のEDタイアップ案件のキープの後、、何回か楽曲が立て続けにキープになることが続いた。
 
「キープが増えてくることが、最初は大切なのですよ」
 
スペルラヴァー社のスタッフ タカシさんが、いつも仰ってくれた。自分も、メジャーでの採用まで、もう後少しかな、という手応えを感じていた。
 
しかし、そんなに現実は甘くない。楽曲キープになってから、そのままスンナリ採用されることは、意外と難しいのだ。考えてみれば、他にも候補曲が数曲あって、その中から一番にならなければだめなのだ。(とはいえ、楽曲キープが増えてくる、というのは、確実に自力が上がっていたり、評価が上がっている時なので、とても良い傾向ではある)
 
キープの状態が数ヶ月続いて、そのまま流れてしまう、ということも普通にある。そういう時は、楽曲を一旦返してもらい、別のタイミングで、その曲と合致しそうな案件があったら、再び出したりできるのだが、、
 
特に、新人のうちは、「採用の可能性が数%でもある」という状況に希望を持っていたい、という気持ちが強い。だから、返却してもらう時は、いつも平静を装いつつ、心の中では落胆していた。
 
では、キープされて一年以上経過してから楽曲が採用される、ということがないかといえば、これも普通にある。だから、その曲の扱いをどうしていくか、判断が結構難しい。感覚的には、プロ野球でいう、ピッチャーをピンチの時に続投させるか継投させるか、に似ているかもしれない。
 
この頃は経験が浅いので、、、当然のことながら、心が何度も折れそうになった。やっぱりなんだかんだで、人は「結果」で評価される。結果を出さなければ、何も成し遂げていないのと同じだ。いろんな意味で、このまま続けていいんだろうか、という気持ちが出てくる。そして焦って、音楽のちょっとした仕事がありそうな場所があったら顔を出す、という、お決まりのパターンになる。
 
そういう気持ちの時に出会う人は、大抵「(いろんな意味で)上手く使えそうな人材を探している人」が多い。もちろん違う場合もあるが、上手く見極めることが重要だ。逆に言えば、まだ「上手く使えそうな人材」である自分自身が、変わるしかないのだ。
 
 
そして、、やっぱり自分でデモの歌を歌う、ということにちょっと限界を感じていた。僕の歌を悪くない、と言ってくれる方もいたが、どう考えても一番になれる歌じゃない。
 
 
ネットでまた、仮歌ボーカリストさんを募集する日が続いた。しかし、なかなか歌唱スタイルや条件的に合う人がいない。その時になって、僕は最初、歌い手さんにすごく「恵まれていた」ことを痛感した。(歌い手さんに関しては、僕は今もかなり恵まれている。)
 
もうだめかな、と思った時、一人の男性から応募があった。やや年上の、元々メジャー・デビューしていた人らしい。やっぱり値段ちょっと高いんだろうな・・・

(次回) その51 ネット経由でのVo.レコーディング

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