その33 あの女の子のライブがある!

(2003年当時)

本格的な音楽製作を、超低価格で短期集中で習うようになって、できる曲がみるみる変わっていったのはいいが、それを歌ってくれる人、というのがいなかった。

いや、探せばいたのかもしれないが、とにかく「どこに送っても絶対に返事が来るデモ」を作りたかったので、歌い手さんに対しては、ものすごく基準を高く考えていた。(上から目線とかでなくて、そうしないと目的の場所に到達できないと思っていたからだ)

僕自身は? カラオケは結構好きだったが、あくまで楽しむ程度で、プロレベルな歌唱力があるとは言えない。キーも低くて音域が狭く、地声だと高いFくらいまでしか出せない。
(声質自体は、元SMAPの草なぎ剛さんに少し似ているかもしれない)

また、僕の歌はちょっと癖があって、、、韓流俳優さんが歌いそうなバラードなら合いそうなのだが、、テンポの速い曲になると、ソフト過ぎてパンチのない、フワフワした歌になってしまう。(技術のある人なら対応できたかもしれない) 僕の作る曲は、バラードだけでなくて、テンポの速い曲や、キーを高く設定しないと合わない曲が多かった。特に当時は、音楽の傾向的に、アイドルでも歌唱力がとても要求された時代だった。

作ったデモは女性を想定したキーのものが多かったので、特に女性のボーカリストさんが急務だと思った。音楽の仕事関係の、大掲示板を使って、歌い手さんを何度も募集して、返事が来ては、どこかで待ち合わせて、カラオケボックスなどで歌っていただいて判断して、ということが続いた。

今はネット上で歌を公開している方が多いが、当時はまず会って、歌を実際に聴いて、歌唱力や人柄を判断して、というやり方が主流だった。今思えば、このシステム、善い人ばかりではなく、悪いことに利用しようとする人がいなくはないと思うので、かなりチャレンジャーだったかもしれない。その辺りは、意外と双方の「信頼関係」で成り立っていたような気がする。そしてこのやり方は、実際に歌っているところを聴くことになるので、間違いのないやり方でもある。

何度か会ってはごめんなさい、会ってはごめんなさい、が続いて、、なかなか難しいもんだなあ、と思いながら、、なんとなく、昔関わっていた、不思議なインディーズ音楽事務所のHPを、久々に覗いた。ああ、前に歌伴奏した、あのすごく声の良い女の子(https://yojinoimusic.com/2019/08/23/声は財産/)、全く連絡取れないけれど、今どうしているんだろう。すると、、

全くの偶然だった。翌日の夜、都内で久しぶりに事務所主催のライブに参加することが分かったのだ! 本名ではなく、アーティスト名義になっていた。

ライブに行って生歌を聴いて、昔感じた通りなら、会って僕の歌を歌ってくださいとお願いしよう。事務所の人に見つかると、ちょっと危険だけれど、明日ライブを見に行こう。

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