その22 我慢

オールディーズの仕事で、演奏以外にすごく気を使ったのが、忙しい時、トイレ休憩がほとんどないことだった。

お客さんが多い時は、朝の5時頃まで、ほぼぶっ通しで演奏しなければならない。その間、休憩が10分もないこともあった。

初めて見学に行った時、緊張で何度もトイレに行った。その時から「これを実際にやることになったら、大変だなあ」とすごく思っていた。

自分なりに立てた対策は、、とにかく、身体を温めることだった。

お昼過ぎまで仮眠をとってから起きる。それからストレッチをして、腕立て伏せ、腹筋、スクワットを100回ずつやってから、シャワーを浴びる。それから出勤した。

演奏している時はあまり水分を摂り過ぎない。(今思うとよく脱水症状にならなかったものだ) たまに気前の良いお客さまに、ビールを注いでいただくこともあるのだが、それ以外に何かを飲むときは、緑茶は自分の場合トイレが近くなるので避けて、爽健美茶か十六茶にした。

演奏中はみんなスーツ姿なのだが、暑くなってくると、スーツの上着を脱いでいる人が少なくなかった。でも僕は、どんなに暑くても、上着は脱がないでいた。だから却って目立っていたかもしれない。冬のとても寒い日は、カイロをお腹の中に入れていた。とにかく、絶対に身体を冷やさないよう、心掛けた。

おかげで、多少我慢することはあっても、なんとか乗り切れたのだが、一度だけ、すごく大変な目に遭ったことがある。前日に油断して、生魚がのっている、お寿司を食べたのだ。

お寿司が少しいたんでいたのか、身体が疲れていたのか、、次の日の営業中、お腹が急に痛くなってきた。確か「Patti Page / Lover Come Back To Me(恋人よ我に帰れ)」の演奏中だったと思う。「もうこの曲しか耐えられない・・・」そう思った時、曲が終わると長めの休憩が入った。

普段と違い、その日はお客さんがそれほど多くなかったのだ。もしいつも通りのお客さんの入りだったら、演奏途中で抜け出していたかもしれない。(実際、過去にそういう例があったらしい)

トイレを我慢しながら演奏している人は、僕の他にも結構いて、休憩が入ると急いでトイレに走っていく光景を、何度か見たのを覚えている。

でも、その対策のために、普段から身体を鍛えたおかげか、少しだけ腕が太くなって、身体ががっちりして、、そして体重が減った。

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