その16 リズム感

音楽をやる上で、「音感」と同じくらい、重要な要素が「リズム感」だ。

これは、自分ではできているつもりでも、できていないことがとても多く、鍛えるのが難しい。リズムを正確に取るだけでなく、リズムを「どう感じて」取るかが大事だ。

たとえば、4分の4拍子で、テンポがBPM100くらいの場合、メトロノームなどのクリック音に合わせて「ワン ツー スリー フォー」と言う。この時、どういうイメージを持っているかによって、全くリズムの取り方が変わってくる。

普通に「ワンツースリーフォー」と言っている時は、ただ単に、テンポに合わせて、なんとなく拍子を取っているだけの時が多い。おそらく「できているつもり」だ。

「ワンッ・トゥーッ・スリーッ・フォーッ」というイメージで取ると(「ッ」は休符)、大分ノリが出てくると思う。

もっと細かくいうと、16分音符が主体の音楽は、(「ッ」は16分休符で)

「ワン(ッッッ)・トゥー(ッッッ)・スリー(ッッッ)・フォー(ッッッ)」

8分音符が主体の音楽は、(「ッ」は8分休符で)

「ワン(ッ)・トゥー(ッ)・スリー(ッ)・フォー(ッ)」

4分の4拍子以外、たとえば4分の3拍子の音楽は、(「ッ」は8分休符で)

「ワン(ッ)・トゥー(ッ)・スリー(ッ)・ワン(ッ)・トゥー(ッ)・スリー(ッ)」

というイメージで取ると良いと思う。この時「ワ トゥ ス フォ」を、それ以下の発音よりも、やや強めに感じることが大事だ。

休符の場合も、どう感じているかで、ノリがかなり変わる。もし、16分音符が主体の音楽で、4分休符休む時、

「ウン」

と、子供の頃に、音楽教室で習ったようなイメージよりも、

「ッッッッ」

というように、(最初の「ッ」はやや強めに感じて) 「16分休符4つ分 = 4分休符分 休んでいますよ」というイメージを持って、休符を感じた方が、ずっと音楽的だ。

これが身についた上で、音の入るタイミングをほんのちょっとズラしていくと、ノリにバリエーションが出て、その時その時に応じた、もっとも適切な、気持ち良いリズムで演奏することができる、これが「グルーヴ」だ。この「グルーヴ」が、ポピュラー・ミュージックで最も重要な要素の一つで、ひじょうに奥深い。

「リズム感」の練習も、場所もお金もかからないので、普段から意識していくと、しばらくすると、ずいぶん良い変化が起きると思う。しかし、どこまでいっても100点に到達できないのも、リズムの難しさだ。

 

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