ジャズを習っている時に、先生に「どういう人が上手くなるんでしょうか?」と聞いたことがある。
先生は「やっぱり、耳だね〜」と言った。
当時はあまり意味が分からなかったが、確かにその通りだと思う。耳が良くないと、聴いている音楽が良いかどうか、またどこが良いのか、また自分が演っている音楽が良いのかどうか、よく分からない。
(音楽に優劣はない、という人もいて、確かにそうなのだが、曲を作っている当事者の感覚では、名曲とそうでない曲の間には、確実に大きな差があるのは確かだ。)
僕が思うに、音楽が得意になるための、一番効果的 & 経済的な方法は、
「街中で聞こえてきた曲を全て、心の中で『移動ド』で歌う」
ことだと思う。これは、どんな音楽理論を学んだり、歌や楽器を練習したりするのよりも、効果的だ。そして、わざわざ練習時間を作らなくても、いつでもやろうと思った時にできる。
「移動ド」で歌う、というのは、どんなキーの曲も、ハ長調と同じように、第一音を「ド」として、「ドレミファソラシド」で歌うことだ。マイナー・キーなら、「ラシドレミファソラ」で歌う。
たとえば、「きらきら星」をヘ長調(Fメジャー・キー)で演奏すると、実際に鳴っている音は「ファ・ファ・ド・ド・レ・レ・ドー」だが、これを「ド・ド・ソ・ソ・ラ・ラ・ソー」と歌うのだ。これは「相対音感」を鍛えていく方法で、「絶対音感」とは真逆なことかもしれない。
これを何年も遊び感覚でやっていると、自分が演奏する時も、今何度の音を弾いているのか、ちゃんと実感しながらパフォーマンスできるようになる。
もちろん「絶対音感」があるということもアドバンテージになると思う。(僕は絶対音感がない) ケース・バイ・ケースで、「絶対音感」「相対音感」を使える人がベストかもしれない。けれど、どちらか一方を選べと言われたら、やはり「相対音感」の方が大事かなと、個人的に思う。