耳コピーのコツ その1 〜 耳コピーをするための体力を付ける方法 〜

音楽をやってらっしゃる方で、一度はぶつかる壁の一つが、聴いた音楽の音を正確に取ること、いわゆる「耳コピー」だと思います。

気に入った楽曲を自分でも弾いてみたい、曲を分析してみたい、だけど耳コピーができない、、どうやったら耳コピーが上手くなるのか、というところが、気になってらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

耳コピーは、僕もずっと音楽をやってきて、少しずつできるようになってきましたが、自分の感覚としては「耳コピーそのものの方法を覚える」ということも大事ですが、それと同じ位「耳コピーをするための体力を付ける」ということが大事になってくるかなと思います。

つまり、耳を良くすることや、基本的な音楽理論やコード進行を覚えることがまず大事で、それがあった上で、耳コピーの方法を利用していくことが、一番確実なやり方ではないかと思います。

それって結構面倒くさいのでは? 僕はあまり、音楽ってこういう魔法のように楽にできる近道があるよ、みたいなことは言えません。だって、そもそもカッコいい音楽は、簡単にできるものではないのですから。(確かに「音を楽しむ」と書きますが 笑) でも、毎日ほんのちょっとのことを少しずつ続けることで、能力を確実に上げていく方法はあると思います。

ここでは

1. 耳コピーをするための体力を付ける方法

2. 耳コピーの方法

の2つについて、僕なりにこうしたらいいのではないかと思っているやり方を書いていきたいと思います。

1. 耳コピーをするための体力を付ける方法

① 生活の中で聴こえてくる音楽や好きな音楽を、「相対音感」を使って「移動ド」で歌うこと

僕はいつもブログで書いておりますが、これが全ての音楽的スキルやセンスを上げるための、最も効果的な方法だと思います。楽器やコンピューターがなくてもできる、非常に経済的な方法です。

「移動ド」で歌う、というのは、どんなキーの曲も、ハ長調(Cメジャー・キー)と同じように第一音を「ド」として、「ドレミファソラシド」で歌うことです。マイナー・キーなら「ラシドレミファソラ」で歌います。いつも声に出す必要はありません、心の中で歌うのでも全然OKです。

例えば、「きらきら星」をヘ長調(Fメジャー・キー)で演奏すると、実際に鳴っている音は「ファ・ファ・ド・ド・レ・レ・ドー」ですが、これも「ド・ド・ソ・ソ・ラ・ラ・ソー」と歌います。

僕は学生時代、電車通学をしていたことがありますが、混雑している時は、本を読んだり何もできない時がありました。そういう暇な時間にこれをやるのです。真面目にやる必要はなく、遊びの延長のような感覚でやれば、途中で嫌になったりせずに継続します。

これを継続していくことで、メロディが聴こえてくると、楽器がなくても、自然と相対音感で音が取れるようになってきます。そして、メジャー・スケールやマイナー・スケールにより親しくなることで、そのスケールに含まれていない音が出てきた時に、あ、今ちょっと面白い音が出てきたぞ、ということが分かるようになってくるのです。基本をしっかり身に付けることで、基本じゃないことをやった時、それが分かるようになっていきます。

大事なのは、最初から完璧を求め過ぎないことです、分からない時は分からないで、分かる箇所だけでも音を取れば良いと思います。そのうちに、少しずつ分からない場面が減っていきます。

② 基本的なコードの構成音と響き、コード進行を覚える

え、、結局は音楽理論?? そうです、音楽理論です。でも、これを覚えるだけで、随分と楽になることがあります。

たとえば、耳コピーしたい楽曲で、ハ長調の曲で「C – Am – F – G」というコード進行を使っているとします。その場合、Fメジャー のコードの時にピアノが「ファ・ラ・ド」と3和音を鳴らして弾いていたら、音楽理論を知らなければ、「ファ」と「ラ」と「ド」の音を、全て自分の耳を頼りに取らなければなりません。

しかし、最低限のコードの知識と響き(和音として鳴らした時の)と、基本的なコード進行のパターンをいくつか知っていれば、「C – Am – ◯ – G」というコード進行がきたら、C – Am と来た段階で、多分次は F が来るんじゃないかなあと、ある程度予想が付くようになると思います。

そして、Fというコードは、ハ長調の4番目の音を根音(ルート音)にした、メジャー・コードです。メジャー・コードの構成音を同時に慣らした時の音の響きを知っていれば、

「これは曲のキーの4番目の音(完全4度)をルート音にした、メジャー・コードだな。この曲はハ長調だから、コードはFで、Fの構成音は  ファ(完全1度)・ラ(長3度)・ド(完全5度) だから、それらを含んだ音を多分ピアノは弾いているんじゃないかな?」

と、予測することができるのです。もちろん、予想が外れることもあるでしょうが、その時はその時です。ルート音が違うかもしれないし、メジャー・コードではなく、マイナー・コードかもしれない。Fはサブドミナントだけれどその代理コードのDm7を使っているかもしれない、分数コードかもしれない、また、似ているけれど別のコード進行を使っているかもしれない… そういう風に、いくつかの場合を考えながら、実際に鳴っている音に近付けていくのです。その時は、① の方法で鍛えた、耳の良さも役に立つと思います。

余談ですが、耳コピーをしていて、「あれ、これちょっと間違っているかな?」と自分で思った時は、大体間違っています。もし曲を再生させながら自分で楽器も弾けるような環境があれば、曲と同時に自分でも弾いてみて、音の響きが濁っていないか、確認していくと良いと思います。

音楽理論は自分の耳の良さだけに頼らず、「多分こうじゃないかな」と予想をするにあたって、ものすごく便利なツールになります。

僕の場合は、たとえばA7(#9)といった、テンションコードの構成音と響きを覚えた時に、耳コピーが格段にできるようになりましたが、いきなりテンションとかは難しくても、もっと基本的なコード(メジャー、マイナー、sus4、aug、dim etc… 最初は大変ならばメジャーとマイナーだけでも良いでしょう)の構成音と、それを同時に鳴らした時の響き、いわば「コードの個性」を覚えれば、ずいぶんと耳コピーはしやすくなります。そこに、トニック、ドミナント、サブドミナントetc… コードの持つ機能の概念も覚えていけば、更に確実なものになるでしょう。

「結局、音楽理論を知らなければ、耳コピーできないのか・・・」と思うかもしれませんが、理論を全て分かっていなくても、全然構わないと思います。今自分が分かっている範囲でやっていけば良いと思います。よく使われているコード進行をいくつか知っている、メジャー・コードとマイナー・コードの響きの違いが分かるetc…  それだけでも、耳コピーは随分楽になります。僕自身も全ての音楽理論を知っているわけではないですが、工夫しながらなんとかやっています。

もしスポーツ、野球などに例えるとしたら、耳を鍛える、ということは、走り込みをしたりウェイトトレーニングをしたり、栄養を計算して食事をしたり etc… 基礎体力作りにあたり 、音楽理論を習得することは、正しいフォームで打ったり投げたり捕球したり etc… そのスポーツの基本的な動作の練習にあたるものかもしれません。

今回、一度で全部書いてしまおうと思っていたのですが、思いの外長くなりそうなので(毎度 笑)、今回はこの辺りで。次回はいよいよ、

2. 耳コピーの方法

について、書いていこうと思います。

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