その54 三兎を追う

2005年当時)
 
年が明けて2005年、、、1月にまた、大型タイアップ案件のキープの報告があった。春から始まる、ある注目ドラマの主題歌(ED)だった。
 
この時点で、
 
 
・有名アニメCM曲(採用決定、今春発売予定)
・女性アーティスト(有名アニメ続編主題歌タイアップ)案件でのキープ
・女性アーティスト(大型ドラマ主題歌(ED)タイアップ)案件でのキープ
 
 
が揃った。なかなか希望の持てるスタートになった。面白いことに、全てバラード曲だった。
 
ドラマ主題歌の案件は、、少々メロディの微調整があったが、それも上手くいった。この曲は、クライアントさんからも、とても高い評価を受けた。
 
歌っていただいたのは、ネットでやり取りしているコースケさん。男性ボーカルのデモだったが、今回は女性アーティストの案件でキープになった。
 
 
今までの(2019年までの)経験上、女性アーティストの案件で男性ボーカルのデモで決まることも、逆に男性アーティストの案件で、女性ボーカルのデモで決まることも、普通にある。性別も勿論大切だけれど、それが全てではなく、「想像力を膨らませられる楽曲、アレンジ」が大切で、「あ、これ良いね!」と先方に初めて聴いた時に思わせることが大切だ。
 
だから、今作曲家志望の人は、「女性案件だけれど、男性ボーカルのデモだし、歌を入れ直す時間がないから、出すのやめよう」とか考えずに、少しでも可能性がある楽曲は、出した方が良いと思う。何もしないで落ちるのより、駄目元で出してみて落ちる方がずっとましだ。(もちろん、案件にもよるし、ディレクターさんの性質によっても違うのだが、それも経験でなんとなく分かってくる。)
 
 
話は戻るが、、、しかし、、、採用決定した曲は別として、キープになってからが、本当に難しいのだ。特にタイアップの付いている案件は、曲の決定権を持っているのは、タイアップ先(今回ならアニメやドラマ側)の人だ。レコード会社で良い評価を得ても、そこで全く別の曲に決まることは、ごく普通にある。そこで、求められるものが二転三転することも、よくあることだ。
 
 
とにかく早く、、目に見える結果がほしい。メジャー作品は決まって、次はアーティストさんがメインの作品を実績に加えたい。できれば、全ての楽曲が、そのまま無事に世に出てほしい。そういう気持ちでいっぱいだった。しかし、あまり思い過ぎる時は、いまいち結果に結び付かないもの。だから、いつも平常心を心がけた。平常心、平常心、平常心
 

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